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【コラム】軍隊に行けと言うには…(上)

 相次ぐ兵役逃れが、またしても世の中を騒がせている。何の問題もない肩にメスを入れたり、重病患者と診断書をすり替えるといった手法で兵役を逃れようとする若者たちが、山のように検挙されている。兵役不正事件は、ひとたび公になると「ビッグニュース」になる。有名芸能人や富裕層の子供が含まれるケースが多く、芋づる式に後から後から出てくるため、その社会的影響は大変なものだ。

 しかし今回の兵役不正事件は、少し違っている。第一に、体の具合が悪いことを持ち出し、金を受け取って病歴を貸す患者と、患者になりすましてでも軍隊から逃れようとする情けない若者が結びついている。第二に、「肩の手術」事件だ。この事件を捜査した警察は、もともと「兵役逃れ」の検挙に乗り出していたわけではない。交通事故を装った保険金詐欺事件を捜査する中で、ある病院で肩の脱臼手術を受けた患者が兵務庁の身体検査で4級(補充役・公益勤務要員)あるいは5級(免除)の判定を受け、兵役の減免もしくは免除を受けていた事実を確認し、捜査に着手した。今回の事件では、芸能人や社会指導層の子供の名前はまだ出ていないため、ニュースとしてはやや重みに欠けるとも言える。

 とはいえじっくり考えてみると、まさにこうした点が、この事件が持つ深刻さなのかもしれない。恥知らずで不道徳極まりない一部の特殊層だけでなく、わたしたちの隣に住む「平凡な若者」の間に兵役忌避症がはびこっている、という実情を示しているからだ。

 実際に、インターネット上では、「入営延期・軍隊免除」に関連する案内サイトを簡単に検索することができる。あるサイトの場合、会員数だけで7万8000人に達する。「本当に軍隊に行きたくないんですが、方法はないですか」「留学しなければなりません。兵役の問題を解決できるよう助けてください」という文章を書き込むと、すぐさま答えが返ってくる。今回摘発されたブローカーも、こうした方法で「顧客」にアプローチしていた。

趙正薫(チョ・ジョンフン)社会部次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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