朝青ガッツポーズ、本人不在で師匠が謝罪

謝罪に訪れた高砂親方

　大相撲の横綱審議委員会が２８日、東京・両国国技館で開かれ、秋場所で２４回目の優勝を決めた横綱・朝青龍（２９）＝高砂＝が千秋楽の土俵上でガッツポーズをした問題で、師匠の高砂親方（元大関・朝潮）が会議の冒頭で謝罪した。これを受け武蔵川理事長（元横綱・三重ノ海）は処分しない方針を表明。ただ、内館牧子委員（６１）は「いつも反省だけしてオオカミ少年と一緒」と一刀両断。今後も、厳しい視線でお騒がせ横綱を追及する姿勢をみせた。

　たった一人で、高砂親方が横審の会合が開かれている会議室へ入った。各委員に向かって、初場所に続き朝青龍が見せたガッツポーズについて頭を下げた。

　「申し訳ありません。本人も反省しております。本人も連れて来ようと思っておりましたが、どうしても外せない用がありまして来られません。どうかご勘弁願います」

　わずか１分の謝罪で退室すると、沈黙を貫き車に乗り込んだ。初場所では「次は理事会に諮る」と通告していた武蔵川理事長は横審の会合にまで足を運んだ師匠の誠意に「ない」と処分を見送る方針を明言。師匠が泥をかぶり、朝青龍の愚行が見逃される大甘裁定となった。

横審で議論する（左から）内館委員、鶴田委員長、石橋委員

　処分保留のぬるさを見逃さなかったのは、内館委員だった。「いけないことと思ってます」と断言。朝青龍自身は千秋楽打ち出し後に反省の言葉を発したが「いつも反省だけしている。オオカミ少年と一緒」と激辛で、復活優勝にも「心技体がそろっていないのでまぐれです」と切りまくった。

　今回の謝罪は武蔵川理事長が高砂親方に出席を命じたもの。本人の意向ではないとあっては、内館委員の怒りも無理はない。ただ、鶴田卓彦委員長（８２）は「違和感はない」と寛大で、横審の中でもガッツポーズへの見解は割れている。石橋義夫委員（８０）は「協会がやってはいけない行動を力士に教えるべき。朝青龍に関しては３度目は問題になる」。仏の顔も３度まで。朝青龍は今後、この言葉を頭に入れて土俵に上がったほうがいい。