3回のミット打ちを披露した大毅を待っていたのは、フェースガードとグローブを着け“本格武装”した史郎氏だった。スパーリングの相手を務め、左ジャブから仕掛けるよう“指導”した。
「オヤジにはデンカオ(セーン)のようなパンチがある。愛情のパンチやな」。だが、そんな史郎氏の行動が波紋を広げるところだった。
WBC世界フライ級王者・内藤大助(宮田)に挑戦した07年10月に反則行為を繰り返したため、大毅にはボクサーライセンス1年間停止、史郎氏にはセコンドライセンス無期限停止処分が下された。JBC規則ではライセンス停止処分から2年経過すれば解除申請できるため、亀田ジムでは今後、申請する方針を示している。指導にあたれば「ライセンス停止にした意味がない。再交付へのマイナスの判断材料になる」とJBC・安河内剛事務局長は話し、亀田側に事情説明を求めた。
亀田ジムの五十嵐紀行会長(34)は、「世界戦を盛り上げたいために、サービス精神で手を合わせた」と釈明。JBCも了承したという。
ここまで60ラウンドをこなしたスパーリングでは、フィリピンから呼んだ相手を圧倒するなど絶好調の大毅に、史郎氏はジム関係者を通じ、「大毅が絶好調なのは見ればわかるやろ。おれは絶対に勝つと信じてる」。2年ぶりの愛息の世界戦へはやる気持ちを抑えきれない“お騒がせスパー”となった。(江坂勇始)