2009年9月28日 11時10分 更新:9月28日 13時10分
週明け28日の東京外国為替市場は、米国の金融緩和が長期化するとの見通しから円高・ドル安が進み、円相場は一時、1ドル=88円23銭まで急騰、1月23日以来約8カ月ぶりの円高水準を記録。28日午前の東京株式市場は急速な円高を嫌気した売り注文が先行し、日経平均株価は一時、7月24日以来約2カ月ぶりに1万円を割り込んだ。市場では、一層の円高が進むとの見方も強く、輸出企業の業績悪化を通じて、持ち直しに転じた日本経済を下押しする懸念がある。【清水憲司、工藤昭久】
午前9時時点の円相場は、前週末午後5時比1円89銭円高・ドル安の1ドル=88円70~72銭。一方、日経平均は午後0時45分現在、前週末終値比292円94銭安の9973円04銭、TOPIX(東証株価指数)は同24.28ポイント安の898.39。
超低金利のドルを売る動きが強まる中、円相場は25日のニューヨーク市場で約7カ月ぶりに1ドル=90円台を突破、89円台半ばまで伸長した。週末の主要20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)が景気刺激策の継続で合意したことを受け、米国の超低金利政策が長引くとの見通しがさらに強まった。
また、藤井裕久財務相がガイトナー米財務長官との会談で「円安政策は採らない」と発言し、為替介入に消極的な姿勢を示したことが「ヘッジファンドなど投機筋に円買い材料ととらえられた」(邦銀ディーラー)ため、円高に拍車をかけた。
東京株式市場では、業績悪化を懸念して自動車や電機、精密など輸出関連株が売られている。金融サミットで金融機関に対する自己資本規制強化が確認されたことで、「銀行が増資を迫られれば、1株価値が希薄化する」との見方から銀行株も値を下げ、相場全体の重しになっている。
藤井財務相は28日昼、記者団に対し、「為替は安定的であることが望ましい。最近の動きは、少し円高に偏ってきているという印象を持っている」との見解を示した。