2009-09-29 07:45:34 gataro-cloneの投稿

<子どもと「貧困」 識者に聞く>東京大学名誉教授・汐見稔幸さん/自尊感情を育む環境を【赤旗】

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子どもと「貧困」/識者に聞く/東京大学名誉教授・汐見稔幸さん/自尊感情を育む環境を
2009.09.23 日刊紙 3頁 総合 

 しおみ・としゆき 1947年生まれ。東京大学名誉教授。白梅学園大学・短期大学学長。『「格差社会』を乗り越える子どもの育て方』(2008年、主婦の友社)、『子育て支援の潮流と課題』(08年、ぎょうせい)など著書多数。

 社会に矛盾があると、周辺部にいる人たちに矛盾が凝縮されたように現れてきます。子ども、障害者、女性、そういうところに経済的な貧しさが集中して現れるわけです。

 貧困の問題は、今に始まったわけではありません。1950年代の日本の農村は、いくら働いても豊かになれなかった。それは根本的には解決されませんでした。農村で食えなくなった人たち約4000万人が、都会に出てきて労働者となり、農村の深刻さはそのまま放置され、東北や北海道ではお父さんが出稼ぎで冬中いない。都会に出てきた人は、家庭を営む基礎的な力(ファミリー・リテラシー)を身につけるチャンスがないまま、自分の子どもを学歴社会に放り込まざるを得ませんでした。

 家族が孤立

 農村でも都会でも、地域の支えあいのシステムがなくなったなかで、自分の家庭は自分で守るしかない、そういう状況のうえに現在があるのです。

 家庭を営むということは、実はとても難しい。家族のそれぞれが自分の意見を上手に表現し、日々の生活を送るなかで家族という集団を維持していかなくてはならない。それぞれに他者と上手にかかわる力が求められます。

 農村の共同体では、親類・縁者が家族を支えてきました。今は家族が孤立しています。一家団らんの楽しみ方がわからない、経済的な貧困だけではない文化的な真因があります。

 親が子どもの発達について科学的な知識をもっことや、ゆとりをもって子どもを見ることができる環境にあるかどうかには、階層差が歴然としてあります。

 一人ひとりの子どもの豊かな発達をどう保障するかという観点からいえば、いくらお金を与えても平等にはなりません。早い時期から、子どもの発達の専門家集団に子どもを預ける必要があります。たとえ親のファミリー・リテラシーが低くとも、一定の時間を保育園などで専門の保育士のもとに育てられることによって、カバーされる。そういう機会をどの子にも与えるベきです。

 貧困が再生産されていく負の連鎖の問題は、教育関係者が考えなければいけない最大のテーマです。

 本当の学力

 学力向上といってテストで子どもたちを競わせていますが、競争教育によって自尊感情を奪われた子どもたちが、他者と上手にかかわり互いが豊かに成長し合えるような関係を築くことは非常に難しい。学校で達成感をうんと味わわせ、自尊感情を育(はぐく)むことができるような教育環境が求められます。1クラスの人数は20人でも多いというのが世界の流れです。

 子どもたちが世の中の大事な物事にたいして、関心をもつことができるかどうかが本当の意味での学力です。子どもたちが個々にもっている成長していく力を、伸ばしてやることが大事です。

しんぶん赤旗





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