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子どもと「貧困」/識者に聞く/立教大学教授浅井春夫さん/国が目標もち解決を2009.09.22 日刊紙 3頁 総合 (全1,335字)
あさい・はるお 1951年生まれ。東京都内の児童養護施設で12年間、児童指導員として働く。現在、立教大学教授。編著に、『子どもの貧困』(2008年、明石書店)、『社会保障と保育は「子どもの貧困」にどう応えるか』(09年、自治体研究社)など。 「子どもの貧困」をなくそうと精力的にシンポジウムや集会にとりくむ浅井春夫立教大学教授と、教育学者の立場から子育てに悩む親たちに的確であたたかいアドバイスを送り続けてきた汐見稔幸東京大学名誉教授に聞きました。 (聞き手 荻野悦子)
貧困が、子どもたちの希望や意欲を奪っています。お金がないから高校に進学できない子どもがいる一方で、定時制高校が統廃合される状況があります。
「子どもの7人に1人が貧困」という数字に対して、また、その周辺の子どもたちに、どういう政策が必要なのか、この国ではまともに議論されてきませんでした。「子どもの養育は家族の責任」といって、すべて親に押し付けてきたからです。
社会に責任 生活保護の母子世帯への加算の廃止、児童扶養手当の削減など、「働かず税も納めない人間を甘やかしてはいけない」という新自由主義の人間観にもとづく政策が、子どもの貧困を増やし、格差を広げました。
この1年ほどのあいだに、子どもの貧困の問題がマスメディアでとりあげられるようになって、ようやく、子どもの貧困は社会に責任があるということが誰の目にも見えてきました。政党も、この問題に言及するところが増えました。
政府はすぐにでも子どもの貧困問題の専門会議をつくるべきです。イギリスのように国が責任をもって、何年までに何%削減するという数値目標ももって、子どもの貧困を解決するという立場を示すべきです。
緊急対応策としては、まず政策理念をはっきりと掲げることが大事です。これまでは就学援助などでも親への援助が中心でした。子育てを家族の責任にするのではなく、子ども個人に視点をあてて、子どもの教育への権利を保障する、親にお金を出して授業料をとるのではなく授業料を無料にするような、そういう政策が必要です。
教育無償化 日本の子どもに対する社会保障費の対GDP(国内総生産)比はわずか0・83%(2004年)です。これをEU諸国なみ(2~3%)にすれば相当な施策が可能になります。
子どもの医療費の無料化、母子世帯への児童扶養手当・生活保護の母子加算の復活などはすぐにできます。保育所の待機児対策は待ったなしです。病児・病後児保育をはじめ、日常的な子育て支援の拠点としての機能の拡充も急がれます。今こそ、国が責任をもって保育所をつくり、質の高い保育を保障するべきです。
応益負担の考えでは、どうしても格差が生まれ、広がります。義務教育費の完全無償化をはじめ、高校・大学教育の無償化も機会の不平等を正すために必要です。子ども施策の対象年齢を引き上げることも検討する必要があるでしょう。最低賃金制度の改革や、家族的な責任を果たすための労働時間の短縮も求められています。
この1年あまりの間に反貧困の運動が広がり、非正規で働く若者たちなどこれまで排除されてきた人々が立ち上がり始めました。この大きなうねりが子どもたちの未来を切りひらく希望だと思います。
しんぶん赤旗