つるつる滑って、滝つぼにどぼん=連続するナメ滝がきれいな新潟・巻機山の米子沢
2009年09月08日10時18分 / 提供:PJ
【PJニュース 2009年9月8日】日本百名山の一つ、新潟県南部にある巻機山(1967m)を源頭にし、明るいナメ滝やコントラストの強い紅葉で知られる米子沢を9月6日に遡行(そこう)した。東京からは関越自動車道の塩沢石打インターで降り、コシヒカリで有名な魚沼平野の東部にある清水集落を目指す。そこから登山口までの細い林道をたどって、巻機山登山口の駐車場である桜坂駐車場まで行く。ここでクルマを止めて沢登りの支度をした。
ここに重要な立て看板がある。「危険 米子沢には、危険箇所が多数あり、初心者の安易な入山は遭難事故を招きます。入山者は装備・計画の確認を」とあった。ザイルにハーネス、ヘルメットに救急道具、沢登り用の靴などは必携だ。事前に地図でルートを確認し、ネットで「米子沢 遡行図」と検索をして、沢の状況を把握した。
米子沢への入渓はこの駐車場脇にある米子橋からでも可能だが、数多くの砂防ダムが待ちかまえている。これらを乗り越えるのは難儀なので、砂防ダム工事用の作業道を少し登った地点から入った。
駐車場から沢の上流に向かって、約1キロの間に5-6つも堰堤(えんてい)がある。米子沢沿いに駐車場から人が住む集落は遠く離れている。これだけの公共工事に税金がいくら費やされ、どのくらいの治水効果があったのはか全くの不明だ。このおびただしい数の砂防ダムをながめながら、著しく自然破壊をしてまで有効需要を創(つく)り出す人々のどん欲さをあらためて知ることとなった。
沢への入り口を求めてさまようこと1時間。ようやくそれらしき場所を見つけ、作業道を左に折れた。米子沢に入るといきなり大きな砂防ダムにぶつかった。「第8堰堤」と記されていた。これを脇から乗り越えるのに苦労した。藪(やぶ)の急坂を登って、足場の悪い崖を下った。米子沢最後の堰堤は真ん中が空いており、そこを通り抜けることができる。この辺りは沢に水がない。地下水脈となって流れている。
この朝は晴れていて、蒸し暑かった。20ー30分ほど歩いていると、ようやく水が出てきた。すると急に涼しくなる。川幅も徐々に狭くなり、両側の山の斜面が迫ってくる。これからが小さな滝が連続する米子沢のハイライトである。雪深い新潟・巻機山の紅葉はすばらしいそうだ。その紅葉を待って米子沢を遡行する手もあった。だが、待ちきれなくなり、今回は紅葉のための下見ということで登った。
このルートはかなりの人が入っているらしく、大きな滝を迂回(うかい)する高巻きでも踏み後がしっかりついており、ルートファインディングには苦労しなかった。3段40メートルの連続する滝では高巻きルートに赤布が付いており、邪魔な枝がところどころ払われていた。
危ない箇所といえば、ぬるぬるのナメ滝の上と滝の登攀(とうはん)だろう。ナメ滝の傾斜はたいしたことがないのだが、コケで滑りやすい。また滝の登攀でもぬるぬるしていて、これまた滑りやすかった。足の裏全体をしっかりと斜面にくっつけ、フリクションを効かせて登っているつもりなのだが、1回ナメ滝で失敗した。
滑り出すと止まらない。ナメ滝をつるつる滑って滝つぼにジャブンと落っこちた。危険箇所は緊張しながらザイルを付けて通過するのだが、滑落しても大丈夫だと分かっていたのでついついやってしまった。水の中に入るのも沢登りの楽しみの一つ。小さな滝ではシャワーを浴びながらよじ登った。
米子沢を詰める少し手前で大きな滝に出くわした。乾いていればなんでもない壁なのだが、コケと泥でいかにも滑りそうだった。残置されたハーケンにザイルをかけ、恐る恐る登った。だが、ここでもつるり。3-4メートル落ちた。幸い、ザイルにつながれていたのと、たいした高さではなかったので大事には至らなかった。
落ちると、急におじけづいてくる。しっかりと安全を確保して、もう一度チャレンジすればいいのだが、やめた。そこで滝の脇を高巻きしたのだが、これが大変だった。たった高さ10メートルほどの滝を通過するのに2時間もかかってしまった。帰り道、友人に支えられ、足を引きずって歩いていた女性に出会った。沢登りの最中に足をくじいてしまったそうだ。登山道でないルートは登山道以上の危険がつきまとう。入念な準備と対応策をここでも改めて実感した。
ここを抜けるともう源頭だ。樹林帯を抜け景色が草原に変わる。沢は二またに分かれる分岐点となる。右は巻機山山頂直下に向かっているが、立ち入り禁止だ。ここでザックからストーブを出し、沢の水をくんで湯を沸かして昼食のラーメンと食後のコーヒーをとった。これが何とも言えずうまい。沢を左に抜けると巻機山の避難小屋にたどり着いた。ここで遡行終了。出発から8時間かかってしまった。
巻機山山頂を往復する予定だったが、午後3時を過ぎていたのであきらめた。避難小屋からダラダラの登山道を下ること約2時間、駐車場に到着して今回の山行を無事終えた。ルートと要領が分かったので、紅葉の時にまた来よう。【了】
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ここに重要な立て看板がある。「危険 米子沢には、危険箇所が多数あり、初心者の安易な入山は遭難事故を招きます。入山者は装備・計画の確認を」とあった。ザイルにハーネス、ヘルメットに救急道具、沢登り用の靴などは必携だ。事前に地図でルートを確認し、ネットで「米子沢 遡行図」と検索をして、沢の状況を把握した。
米子沢への入渓はこの駐車場脇にある米子橋からでも可能だが、数多くの砂防ダムが待ちかまえている。これらを乗り越えるのは難儀なので、砂防ダム工事用の作業道を少し登った地点から入った。
駐車場から沢の上流に向かって、約1キロの間に5-6つも堰堤(えんてい)がある。米子沢沿いに駐車場から人が住む集落は遠く離れている。これだけの公共工事に税金がいくら費やされ、どのくらいの治水効果があったのはか全くの不明だ。このおびただしい数の砂防ダムをながめながら、著しく自然破壊をしてまで有効需要を創(つく)り出す人々のどん欲さをあらためて知ることとなった。
沢への入り口を求めてさまようこと1時間。ようやくそれらしき場所を見つけ、作業道を左に折れた。米子沢に入るといきなり大きな砂防ダムにぶつかった。「第8堰堤」と記されていた。これを脇から乗り越えるのに苦労した。藪(やぶ)の急坂を登って、足場の悪い崖を下った。米子沢最後の堰堤は真ん中が空いており、そこを通り抜けることができる。この辺りは沢に水がない。地下水脈となって流れている。
この朝は晴れていて、蒸し暑かった。20ー30分ほど歩いていると、ようやく水が出てきた。すると急に涼しくなる。川幅も徐々に狭くなり、両側の山の斜面が迫ってくる。これからが小さな滝が連続する米子沢のハイライトである。雪深い新潟・巻機山の紅葉はすばらしいそうだ。その紅葉を待って米子沢を遡行する手もあった。だが、待ちきれなくなり、今回は紅葉のための下見ということで登った。
このルートはかなりの人が入っているらしく、大きな滝を迂回(うかい)する高巻きでも踏み後がしっかりついており、ルートファインディングには苦労しなかった。3段40メートルの連続する滝では高巻きルートに赤布が付いており、邪魔な枝がところどころ払われていた。
危ない箇所といえば、ぬるぬるのナメ滝の上と滝の登攀(とうはん)だろう。ナメ滝の傾斜はたいしたことがないのだが、コケで滑りやすい。また滝の登攀でもぬるぬるしていて、これまた滑りやすかった。足の裏全体をしっかりと斜面にくっつけ、フリクションを効かせて登っているつもりなのだが、1回ナメ滝で失敗した。
滑り出すと止まらない。ナメ滝をつるつる滑って滝つぼにジャブンと落っこちた。危険箇所は緊張しながらザイルを付けて通過するのだが、滑落しても大丈夫だと分かっていたのでついついやってしまった。水の中に入るのも沢登りの楽しみの一つ。小さな滝ではシャワーを浴びながらよじ登った。
米子沢を詰める少し手前で大きな滝に出くわした。乾いていればなんでもない壁なのだが、コケと泥でいかにも滑りそうだった。残置されたハーケンにザイルをかけ、恐る恐る登った。だが、ここでもつるり。3-4メートル落ちた。幸い、ザイルにつながれていたのと、たいした高さではなかったので大事には至らなかった。
落ちると、急におじけづいてくる。しっかりと安全を確保して、もう一度チャレンジすればいいのだが、やめた。そこで滝の脇を高巻きしたのだが、これが大変だった。たった高さ10メートルほどの滝を通過するのに2時間もかかってしまった。帰り道、友人に支えられ、足を引きずって歩いていた女性に出会った。沢登りの最中に足をくじいてしまったそうだ。登山道でないルートは登山道以上の危険がつきまとう。入念な準備と対応策をここでも改めて実感した。
ここを抜けるともう源頭だ。樹林帯を抜け景色が草原に変わる。沢は二またに分かれる分岐点となる。右は巻機山山頂直下に向かっているが、立ち入り禁止だ。ここでザックからストーブを出し、沢の水をくんで湯を沸かして昼食のラーメンと食後のコーヒーをとった。これが何とも言えずうまい。沢を左に抜けると巻機山の避難小屋にたどり着いた。ここで遡行終了。出発から8時間かかってしまった。
巻機山山頂を往復する予定だったが、午後3時を過ぎていたのであきらめた。避難小屋からダラダラの登山道を下ること約2時間、駐車場に到着して今回の山行を無事終えた。ルートと要領が分かったので、紅葉の時にまた来よう。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 小田 光康
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