汚破損本続出、韓国の図書館の恥ずべき実態(下)
■傷つけた人の割り出しはほぼ不可能
被害は次の利用者がそのまま受ける。京畿道立・金浦市立両図書館でよく子ども向けの本を借りるというパク・テジョさん(43)は、「何かを食べながら読んだのか、コーヒーや食べ物の染みが付いた本を見ると気分が悪くなる。内容が良くても汚いと、子どもたちが読むのを嫌がる」と話した。就職活動をしているキム・インヒさん(24)は、「語学や受験の本に、自分の本であるかのように印を付けるケースが多い。重要な部分が切り取られたり、破られたりしているため、わたしが必要としていた情報を見られないこともある」と語った。
図書の破損行為は予防や制裁がほぼ不可能だ。大半の地方自治体が、本を傷つけると同一の本か現金で弁償するよう条例で規定しているが、本人が否認すれば証明が難しい。以前、ソウルの東大門図書館は栄養学概論書にひどい落書きがされているのを発見し、直前に借りた学生を問いただしたが、本人が最後まで容疑を否認したため、結局弁償させるのをあきらめた。
市民たちは、図書返却の際に司書が一つ一つ本の状態を確認し、本にカバーを掛けて寿命を延ばすようにすべきだと提案する。しかし、図書館の限られた予算と人員で本にカバーを掛けるのは容易ではなく、無人返却機で返却する本は確認が不可能だ。一部の新刊にカバーを掛けて貸し出しているウルサン市の北区中央図書館は、「本1冊を包装するのに10分ほどかかる」と話す。同図書館のシン・ジユン司書は「50人ほどのボランティアがいるため何とか作業は可能だが」と説明した。
■「本を大切に扱うことを教えるべき」
今回取材に応じた各図書館の司書は「各個人の良心に任せるしかない」と口をそろえた。結局、本を大切にしようという心がけが重要だというわけだ。7年間ウルサン地域の図書館でボランティア活動を行っている「本の愛ボランティア会」のチェ・ヒャンイ会長は、「手につばを付けてページをめくったり、本の縁を持つなど取るに足らない行為でも、本は台無しになる」と語った。
専門家らは、幼いときから図書館の本を「公共の財産」として大切にする姿勢を教えるべきだと話す。京畿大学の金泰承(キム・テスン)文献情報学科教授(韓国図書館協会元会長)は、「米国など先進国は小学校の授業で公共図書館をよく利用し、図書館資料の大切さを学ぶ」と語った。
米国で10年間余り暮らした徳成女子大学のチョン・ジンス文献情報学科教授は、「米国の公共図書館では落書きされた本を見ることはほとんどない。傷みやすい子ども向けの“仕掛け絵本”も大半はきれいな状態だった」と語った。
- ソウル・陽川図書館の司書が、破損した本をホチキスで留めた後、裏側に飛び出た針を金づちでたたき、補修している。/写真=チョン・ギビョン記者
キム・ヨンジュ記者
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