借入モラトリアムの法制化を検討、10月の臨時国会に提出したい=亀井郵政・金融担当相
[東京 17日 ロイター] 郵政問題・金融担当相に就任した国民新党の亀井静香代表は16日から17日未明にかけての記者会見で、中小企業による借入金や個人の住宅ローンなど銀行への返済に一定の猶予期間(モラトリアム)を設ける制度の導入について、法案化した上で10月の臨時国会に提出する方針を示した。
亀井郵政・金融担当相は一連の会見で、中小零細の企業・商店が日本の経済の基になっているとし「貸しはがしによって黒字倒産がドンドン起きているのが、残念ながら実態だ」との認識を示した。個人も住宅ローンの返済で苦労しているとして「3年ぐらいは借入金の返済を猶予する措置をとるべきだと考えている。早速これについては検討して、速やかに実施をしていきたい」と語った。
ただ、具体的な制度の詳細は「まだきちんと決めている訳ではない」としつつ、「モラトリアムが具体的に対応しやすい」として、制度導入の必要性を強調。郵政民営化凍結法案と合わせて、モラトリアムを法案として整備し、10月の臨時国会で提出すると述べた。
同制度の導入には金融界から不安視する声が挙がっているが、亀井郵政・金融担当相は「銀行業界やそのあたりの反応は聞いていない。今の金融は極めて異常。金融機関はそのことについての反省がなければならない」と反論。「個々の中小零細企業が銀行に対し交渉するには力関係で限度がある。そういうことに政府・政治がきっちりやっていかなければならない」と強調した。金融機関はもっと社会的使命を考えるべきとも指摘。「中小企業、零細企業が今の状況からどう元気良く立ち直っていけるか、日本経済にとって一番基本的な問題だと思う」と述べた。亀井担当相は、同制度について「鳩山首相もやろうと言っている」とした。
同制度によって、信用金庫や信用組合など経営が疲弊しかねない地域金融機関があるとの指摘に対しては「貸し手が資金繰りに困るときは国家的な見地から対応する手法はいくらでもある」と述べた。「(制度の適用を受ける企業などの)経営が気分的に緩むことはあるかもしれない」とデメリットを挙げたが「むしろ将来に向かって頑張る意欲の方が出てくると思う。借り手が全力を挙げて経営努力する環境ができる」と強調した。
世界の金融規制をめぐる議論については「アメリカだけには任せておけない。アメリカが決めたことにそのまま受け入れるとひどい目にあう」と、国際会議などに参加する意向を示し「国際経済で、同一歩調を取るならば、取り決めの中味にコミットするのが当然」と述べた。「アメリカで大変なやけどをしたわけだからこの経験を踏まえる。野放図に欲望が爆発するままに任せると被害者が出るに決まっている。被害が起きないように、ある範囲に収めていく努力をするべき」とした。規制強化だけではなく緩和もあると主張し「どううまくいくかという話だ」との考えを示した。
(ロイターニュース 平田紀之、布施太郎、デイビッド・ドラン)
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