【ソウル西脇真一】5月に自殺した韓国の盧武鉉(ノムヒョン)前大統領の回顧録「成功と挫折」が出版された。亡くなる3日前に自分で手を入れた部分には、不正資金提供事件で追及を受ける身の苦衷のほか、社会が受容する準備のできていない「改革」を急ぎ過ぎたとして「大統領になろうとしたのが最も大きな間違いだった」との思いもつづられている。
盧氏は昨年2月に退任し、出身地の南部・金海市で暮らしていた。しかし、自身の有力支援者による不正資金提供事件で、今年4月に収賄容疑で最高検の事情聴取を受けた。
盧氏は「過ちは過ちだ。弁明したいがそうすることはできない」とし、「司法の手続きを運命として受け入れる準備をしている」と記述。清潔なイメージを持たれていた盧氏だが「政治とカネは切り離すことはできないと考えていた」とも。
米国と距離を置く一方、イラクへ軍部隊を派遣したことについて「大統領として不可避な選択だった」と振り返った。また、07年に南北首脳会談で会った北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記を「実務的な問題では相当な融通性があり、柔軟に決定を下せるという点で対話相手になる」と評価した。
毎日新聞 2009年9月28日 東京朝刊