「極私的小説ベスト50」……一作家一作品限定! ネット上で無料で読める作品限定!! |
★1位〜25位(このページ) ★26位〜50位へ |
1位 『山椒大夫』 森鴎外 (青空文庫) |
短編。父親を訪ね行く長旅の途中、人買に遭い、母親と離れ離れになってしまった姉・安寿と弟・厨子王。安寿の意思に従い、分限者・山椒大夫のもとを脱走する厨子王…。ラストは涙なくしては読めない。名作中の名作。 |
2位 『銀河鉄道の夜』 宮沢賢治 (青空文庫「角川文庫版」) |
中編。気がつけば、親友・カムパネルラと銀河鉄道を旅していた少年・ジョバンニ。乗客たちと交流していくうち、この列車が天上へ行く死者を運ぶ列車だと知る…。悲しみを乗り越え前向きに生きる決心をする姿に感涙。 |
3位 『走れメロス』 太宰治 (青空文庫) |
短編。人を信じない暴虐の王・ディオニスに捕われたメロスは、妹の婚礼を挙げるため、親友・セリヌンティウスを身代わりにする。処刑までの期限は三日間…。メロスの心の葛藤が描かれていて秀逸。友情って素晴らしい。 |
4位 『杜子春』 芥川龍之介 (青空文庫) |
短編。人間に愛想が尽き、仙人・鉄冠子に弟子入りした若者・杜子春。鉄冠子の命令で、何があっても声を発しない杜子春だが、閻魔大王に容赦なく鞭を受ける父母の姿を見た時…。「人間らしい、正直な暮らし」!感動。 |
5位 『吾輩は猫である』 夏目漱石 (青空文庫)(電子文藝館) |
長編。吾輩は猫である。名前はまだ無い──。苦沙弥先生の家に集う個性的な仲間たちとの他愛のない話の数々を、飼い猫(吾輩)の視点で描くユーモア風刺小説。苦沙弥先生と奥さんのやり取りが最高に楽しい。 |
6位 『恩讐の彼方に』 菊池寛 (青空文庫) |
短編。旗本・三郎兵衛を殺害し、逃亡した下男・市太郎だが、良心の呵責に囚われ出家する。三郎兵衛の倅・実之助は、敵討へ出発するが…。二十余年もの間、一途にトンネルを掘り続ける姿に驚愕! 感動のラスト! |
7位 『昨日・今日・明日』 織田作之助 (青空文庫) |
短編。大阪へ向かう復員列車で、道連れとなった声楽家の女性を探す白崎と、戦災孤児の女の子・ミネ子を引き取り、行方知れずの妻子を探す赤井…。ハートウォーミングな素晴らしいストーリーに目頭が熱くなる。 |
8位 『あくる朝の蝉』 井上ひさし (電子文藝館) |
短編。夏休みを利用して、孤児院から祖母の家にやって来た少年と弟。ずっと祖母の家で暮らしたい二人だが、薬屋を営む祖母の家は、祖父が残した借金で貧乏していた…。思いやりのある兄弟の会話が素晴しい。感涙。 |
9位 『本の話』 由起しげ子 (電子文藝館) |
短編。身を削り病妻(姉)を看護した末、栄養失調で死んだ義兄。姉の療養費に窮した主人公の女性(童話作家)は、義兄の遺品である六百冊の本の処分を決心するが…。ラストの童話劇のあらすじに涙。お気に入り。 |
10位 『ごん狐』 新美南吉 (青空文庫) |
短編。村に出てきて悪戯ばかりしている一人ぼっちのごん狐。兵十のうなぎを盗んだごんは、そのうなぎが、死んだ兵十の母が食べるものだったと知り、自分の悪戯を後悔する。報いを受けるラストに涙、涙…。名作童話。 |
11位 『半七捕物帳シリーズ』 岡本綺堂 (青空文庫) |
<第一話・お文の魂>小幡家に嫁いだお道だが、夜な夜な幽霊の出現に悩まされ、離縁を決意する…。「江戸時代の隠れたシャアロック・ホームズ」である岡っ引・半七の活躍を描く捕物帳シリーズ。全話ハズレなし。 |
12位 『右門捕物帖シリーズ』 佐々木味津三 (青空文庫) |
<第二十三話・幽霊水>人気の上方役者・嵐三左衛門が泊まる宿屋に毎晩出没する”幽霊水”の正体は? 手下のおしゃべり伝六とのコンビで事件を解決する同心・近藤右門(むっつり右門)の活躍を描く捕物シリーズ。 |
13位 『文七元結』 三遊亭円朝 (青空文庫) |
短編。腕はいいが博奕好きの左官・長兵衞。家の借金を返すため、吉原に身を売ろうとする娘・お久。女郎屋「角海老」の好意で百両を借り受けた長兵衞だが…。皆いい人ばかりで、人間って素晴らしい。感涙のラスト。 |
14位 『どんぐり』 寺田寅彦 (青空文庫) |
掌編。肺病を患った妊娠中の妻と植物園へ出掛ける作者。「だって拾うのがおもしろいじゃありませんか」。どんぐり拾いに夢中になる亡妻の記憶と、六つになる遺児・みつ坊の無邪気な姿がダブって見える。感涙の名文! |
15位 『大菩薩峠』 中里介山 (青空文庫) |
長編。悪のヒーロー・机竜之助の活躍を描いたチャンバラ時代小説。仇である竜之助を追う宇津木兵馬や、薄幸のお松、悪人・神尾主膳など、多彩な顔ぶれによって展開されるストーリーが抜群に面白い。未完の大作。 |
16位 『名人伝』 中島敦 (青空文庫)(電子文藝館) |
短編。弓の達人・飛衛から奥儀秘伝を習得した紀昌(きしょう)だが、山の頂にいる甘蠅(かんよう)老師の技はもっと凄かった…。驚嘆のラスト! 技を極め、名人になるということは何と凄まじいことか! ぶっ飛び傑作。 |
17位 『押絵と旅する男』 江戸川乱歩 (電子文藝館) |
短編。押絵細工で描かれた絵の中の老人と美女の身の上話を始める男。双眼鏡を逆さに覗く行為を、慌てて止める男の謎…。観音様の境内で見かけた美しい娘の正体は何と! 浅草・凌雲閣(十二階)が重要な舞台に。 |
18位 『鸚鵡のいる部屋』 牧野信一 (牧野信一電子文庫) |
掌編。アメリカ人の家に寄宿している大学生の彼。その家の一人娘・フロラが飼っている鸚鵡・グリップは、「お早う」も「今日は」も覚えないダメ鳥。”決して言葉を覚えない鸚鵡”を飼うことの素晴らしい効用を描いた好編。 |
19位 『時間』 横光利一 (青空文庫) |
短編。座長が出奔したため、宿賃の払いに窮した男女十二人の団員たち。雨の日を待って夜逃げするが…。空腹と疲労と寒さと眠気、喧嘩と友情、そして団結…。極限状態での人間模様をコミカルに、感動的に描く。 |
20位 『鮨』 岡本かの子 (青空文庫) |
短編。常連客である年配の紳士・湊に好意を寄せる「福ずし」の看板娘・ともよ。鮨を食べることが慰みになるという湊が語る思い出話。「では、お客さまのお好みによりまして、次を差上げまあす」。親子の情愛が感動的。 |
21位 『不連続殺人事件』 坂口安吾 (黎明 〜DAWN〜) |
長編。「不連続」に見せかけた周到な連続殺人事件を、探偵の才能に長けた青年・巨勢博士が暴く! 犯人当てが主眼(何と懸賞付き)の作品だが、読後感はスッキリ納得。ミステリー史に残る本格推理小説の名作。 |
22位 『岡の家』 鈴木三重吉 (青空文庫) |
掌編。貧乏な百姓の家に住む男の子は、家の仕事が終わるといつも、岡の上に見える金の窓の家を眺めていた。休みの日、金の窓の家へ行って見るが…。幸福とは何かを気づかせてくれる、そんな素敵な傑作童話。 |
23位 『幸福の彼方』 林芙美子 (青空文庫) |
短編。去年、戦場から片眼を失って戻って来た男・信一と見合い結婚した絹子。信一からの意外なる告白に、自分の前途が薄暗くなったのを感じる絹子だが…。読んで良かったと思える素晴しい作品。 |
24位 『少女病』 田山花袋 (青空文庫) |
短編。神田の雑誌社に勤める妻子持ちの中年男・杉田の楽しみは、満員電車の中で、美少女を観察すること。美しい令嬢の姿にうっとりする彼だが…。急転直下のオチ! 女性専用車両の早期設置を希望します(笑)。 |
25位 『黒髪(連作)』 近松秋江 (青空文庫)(電子文藝館) |
短編。祇園の遊女・お園に惚れ込んだ主人公の男。一日も早く身請けして、自分の所有(もの)にしたい男だが、お園に翻弄されまくる…。お園の母が強烈キャラ。『狂乱』、『霜凍る宵』と続くどこまでも情けない情痴小説。 |