長野、岐阜両県にまたがる御嶽山(おんたけさん)(3067メートル)が、過去1万年間に少なくとも4回のマグマが地上に噴出するマグマ爆発を起こしていたことが測量会社、アジア航測(本社・川崎市)と産業技術総合研究所の調査で分かった。両県は最新のマグマ爆発は2万年前とし、それ以降の噴火は水蒸気爆発と限定して防災計画を作成、特に山頂の北側に火砕流が到達しないとみていた。10月から国と協力し、警戒区域を示したハザードマップを新たに作製する計画だ。
御嶽山は、79年10月の水蒸気爆発があるまで活動がほとんど止まった火山と位置付けられていた。
06年、岐阜県の委託を受けたアジア航測が、航空機からレーザーを使い山の立体地図を作製。マグマ噴火による溶岩などの堆積(たいせき)物があると思われる場所を現地調査した。その結果、山頂の北西約6キロ(標高1520メートル)で5200年前の火砕流跡を発見した。また、国の委託で08年までに実施した調査で、山頂の南東(同2450メートル)で5000年前の噴火堆積物▽山頂の北~北東(同1800~2150メートル)で1万年前の火砕流跡を見つけた。
一方、産総研は、山頂から東に流れた2万年前の噴火跡とされた三ノ池溶岩の年代を、放射性同位元素の一つ、炭素14で測り、9000年前と突き止めた。
御嶽山のハザードマップは01年度に両県が作製したが、山頂北側は火砕流到達を想定していない。国土交通省多治見砂防国道事務所は「11年度までに新たなハザードマップを完成したい」としている。【石塚孝志】
毎日新聞 2009年9月27日 東京朝刊