外科の医師の減少が深刻になる中、その解決策を求める取り組みも続けられていますが、その処方箋の決定打と期待されるのが医師になろうという人材の育成です。そんな取り組みの一つを取材しました。
電気メスを片手に外科手術を行っているのは、医師ではなく中学生。鶏肉を使っての手術体験は、研修医も行う本格的なものです。
生徒達に外科の仕事について関心を持ってもらおうと、神奈川県立がんセンターで外科手術を模擬体験できるキッズセミナーが行われました。
今回参加したのは、がんセンターの近くに住むおよそ30名の中高生です。内視鏡による手術で代表的な手術器具の鉗子を動かしたり、実際に針と糸を使って傷口を縫い合わせるなど、外科医が実際に用いる医療器具そのものを使って本物に近い手術を体感します。
もちろん指導するのも、毎日ここで活躍している医師たちです。がんセンターならではのセミナーもあります。がん患者に行う放射線治療も疑似体験できるのです。
今回の企画には小児科、産婦人科と同じく、事態が深刻な外科医不足を改善したいという、医師の願いもこめられています。
「『ここで体験して外科医になりました』と言ってくれたら、うれしい」(神奈川県立がんセンター・呼吸器外科 中山治彦部長)
「(内視鏡模擬手術で)肝臓に刺さって、血がバーっと出たので、自分と医者との差がはっきり分かるようで怖い」
「(Q.何科の医師になりたい?)これ(体験セミナー)やったら外科(医)になりたいかな」(セミナーを終えた生徒)
このなかから果たして未来のドクターが現れるのか、10年後が楽しみです。(28日06:14)