政権交代の影響について、すでに見え始めたことを中心に、簡単にまとめておく。
一言で約するならば、当面日本は無政府状態に陥る。というより残念だが、すでに陥っている。
今年度補正予算の執行が停止しているのはすでに報道の通りだが、すでにこれを受けて霞ヶ関では完全に今年度の未執行事業が停止している。すでに霞の中の人々からは「ヒマになったんで飲みに行きましょう」という自虐的なお誘いが届きはじめている始末。
一方、すでに着手された案件はさすがに粛々と進むかと思いきや、こちらも滞りはじめている。というのも、通常この時期は次年度に向けての検討が概ね整理されつつあるところであり、その次年度対応に向けて今年度事業の着地点を探っているところなのだが、概算要求が止まってしまったため、思考を停止せざるを得ないのが実態である。
本来ならば、民主党は政権奪取のメドが立っていたのだから、事前に政権交代担当チーム(いわゆるパラシュート部隊)を結成し、「日曜日の夜8時の時点で霞ヶ関の現場に乗り込んで指揮権を奪取する」というくらいの機動的な対応をすべきところだった。
しかし「この案件はなんかおかしいんじゃね?これはもうやめよっかな」という民主党幹部の呑気な発言が、今頃になって報道を通じ霞ヶ関に伝えられているような状況である。もちろん受ける側の霞サイドとしても「国民が選んだ新政権の指示を待つ」という状態で、身動きが取れるわけもない。円滑なマイグレーションには今のところ完全に失敗していると言わざるを得ない。
日本の仕組みを変えるのだから、亀の歩みでしか進まないのは当然である、と彼らは言うのかもしれない。オーケー分かった、しかしそれに要する時間は1年か、2年か?それとももっと長いのか?その間に壊れていく国民生活を、私たちは座して眺めていろ、ということなのだろうか。
いや別に、日本は霞ヶ関中心で回ってるわけじゃないですから!という声については、日本国民よりも物わかりの悪い世界の話をしてみよう。たとえばG20は日本がゴタゴタしているものだから日本抜きで検討を進めているが、その結果、バーゼルは来年にも引き上げが行われる可能性が高まった、かもしれない。
これがどんな意味を持つのか。たとえばこんなふうに考えると分かりやすいだろう。公的資金を投入されて結果的に自己資本たっぷりの欧米金融機関に比べ、日本勢はここまでお涙頂戴の劣後債発行等でしのいでいる。しかしそれにも耐えきれないほどの自己資本比率強化が図られるとしたら、銀行のバランスシートのお掃除を迫られることになりかねない。
そもそも日本の銀行のバランスシートには何が突っ込まれているかよく分からない。これは過去の歴史を紐解けば明らかなこと。そういえば今現在も、某バタイユ銀行がよく分かんない物件とのバルクで売りに出ていて、木村佳乃が手を挙げさせられていますね、みたいな。
こうなると、たとえば数兆円の有利子負債を個人向け社債で借り換える自転車曲芸の得意な某A社等は、「減損→債務超過→整理→クラッシュ」となる可能性がある。もちろんこれはA社に限らず、タイミング的にはむしろツルツルしたところやかんぽなところが先だろう。8月31日にDBJから入金してもらったエルピーダはラッキー極まりない。
しかも前政権ならば、まだこうしたクラッシュに関するダメージコントロールの配慮が見られたが、何事も不慣れな民主党政権であれば、週末の夜の歌舞伎町にハードランディングしかねない。それどころか今の機動力の低さのままでは、職安通りを易々と超えて焼き肉屋が店ごとバーベキューなんて事態にさえなりかねない。
断っておくが、別に民主党政権の揚げ足を取ろうと思っているのではない。むしろ逆で、民主党をはじめとした今後の政権勢力に投票した人は少なくとも年末くらいまでは熱烈に支援する「義務」があろうし、投票しなかった人がその妨害をするのは国賊の誹りを免れない、とさえ思っている。
ただ、そうした私の思いとは別に、現実はすでに無政府状態になっている。そして今を生きなければいけない私たちは、それに備えなければいけないのも事実である。平穏な日々はもはや過ぎ去ったことを肝に銘じて、日々精進したい。
ちなみにタイトルは、デンゼル・ワシントン主演の刑事ドラマから拝借。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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ようやく、ニホン国民も民主主義を理解するところまで来たんだから好いんじゃないかな?
無血革命の威力は、半年以上続くけどそれはそれで良しとしなくちゃね。