今まで、「オープン前の飲食店に試食会のために呼ばれる」なんてことはありませんでしたが、今日はじめて経験してきました。
明日オープンする、香の香といううどん屋。
香港の地元系うどん屋は、日本人の口に合いません。というか食べられません。うどんがブヨブヨしていて、コシなんて言葉とはまったく対極にある食べ物。
香港人たちはそれを喜んで食べてるわけですから、私たち日本人と味覚が違うのか?いわゆる「おいしい」うどんを出したら、彼らはどう思うのか?
いや、彼らはおいしいうどんを食べるとほぼ100%元いた世界に戻れなくなります。やはり、日本の食べ物はおいしい。僕もうどんは大好きなので、台風警報が発令していましたが試食会に行ってきました。
すごい花束ですね。笑っていいとものアレを思い出しますね。
香川のうどんの香りということで、香の香。
7月20日開業。開業を明日に控えて、店内はさぞかしピリピリしたムードになっているだろうと思いきや。
このうどん屋を仕掛けた男たちがシャンパンを飲んでます。
仕掛け人の一人である関口さんは、和食居酒屋チェーンの
魚屋一丁を成功させた立志伝中の人でもあります。
うどん屋さんで、割烹着を着た人がシャンパンを注いでいる姿はこの人生で何度も見れないと思ったので写真をとってしまいました。
「何でも食べていいよ」
いちおう試食会ということですから、食べ物はすべて無料です。しかし単にタダメシ食いにきたのではダメだということは分かっていて、ここで私に与えられた役割はダメ出しです。
「何を注文されたら困りますか?」
僕も大学時代にファミレスで働いていたからよく分かるのですが、注文されて困るメニューというのがあるのです。僕がいたファミレスでは、牡蠣フライ・ハンバーグ定食を注文されると、牡蠣フライが揚がるタイミングとハンバーグが焼きあがるタイミングをあわせるのが難しく、注文されて困るメニューでした。
「そうだねぇ。注文されて困るのは、ご飯ものかな。それもうどんとセットの」
分かりました。では、厨房の練習のためにご飯ものを注文しましょう。冷たいうどんと、ブタ丼のセットを注文しました。
待つこと8分。
おぉぉーー 出てきました。特に待たされた感じもせず、ご飯とうどんと一緒に出てきましたね。全然文句ナシです。
それでは、うどんを一口…
コシがある、日本で食べる釜あげうどんです! うどんの香りがハナに通り、いい感じ。ダシも関西人好みの薄い味。おいしいです。
ファースト・フードうどんを目指すとのことでしたので、このセットで42香港ドル。もちろん日本の凝りに凝ったうどんにはかないませんが、「気軽にうどんを食べたい」というニーズは十分に満たしてくれます。
ダメ出しするって言っても、ビジネスする人はゼロから作りあげたわけであります。自分もビジネスパーソンの端くれとしていつも思うのですが、ビジネスをイチから作り上げるって本当に大変です。想像を超えるような努力が必要なわけで。
ここの社長もこのお店を出すまでに血のにじむような努力を重ねてこられたわけでしょう。なのに、ポッと来たわたしがダメ出しをしてもよろしいものでしょうか。しかも僕はうどんのことは詳しくありません。
批判するのはいつだって簡単です。ビジネスをゼロから作り上げるのには膨大な時間がかかりますが、批判は10秒で出来るわけですからね…
いつだって批判する人にはなりたくはありませんでした。野球とか見ている人で、「何でそこで打たないんだよぉ」とかTV越しに選手を批判しているのを聞くと「じゃオマエがバッターボックスに立ってみやがれ!」と思ったものです。それまでに積み上げてきた膨大な努力に対して、本来であればつめの垢でも煎じて飲ませて頂かなければならない私に何が言えるというのでしょう。
作り上げるのは超大変。批判するのは超簡単。
そういうことを百も承知で、断腸の思いで、小声で言わせていただきました。
「うどん、ちょっと少ないような気がします…」
「あぁそう?ポーション間違えたかな?開店前だから、みんなパニクっちゃって。アハハハ」
社長とお話していたら、店の中は38席、一日10回転させないと損益分岐点を越えないということでした。テイクアウトもあります。
明日開店。社長の目は燃えていました。カッコよいです。
Author:ハーベスライフ
FC2ブログへようこそ!