TOUMA飯店装甲怪獣の間



<これはデストドン サイドストーリーの一つである。>


20××年、
東京に度々上陸する装甲怪獣の猛威にさらされる中、
世界各国の研究者が彼らの生態と目的を探るべく立ち上げた「怪獣研究所」。
ここ「二子玉川(ふたごたまがわ)怪獣研究所」も
数ある怪獣研究所の一つである。

わたしはこの「二子玉川怪獣研究所」の所長、早乙女 獏(さおとめ ばく)
先月の装甲怪獣の強襲により、都内も壊滅的な被害を受け、
ライフラインの確保もままならない状況が続いているが、
わたしはこの研究所を離れるわけにはいかない。
わたしの息子の研究データを守るためにも・・・。

わたしも息子、早乙女 正太郎(さおとめ しょうたろう)
多次元理論の研究において世界的権威である。多次元とは
わたしたちが存在する世界と平行的に無数存在する世界、
いわばパラレルワールドであり、近年その存在があきらかとなった
近くて遠い世界の総称である。
わが息子正太郎は、それら平行世界を研究する中で、
同時多発的にそれらの世界にも装甲怪獣が出現し、
ある平行世界では、わたしたちの世界同様に無差別に
装甲怪獣が町や人を襲っているが、
ある平行世界においては、装甲怪獣を人々が崇め、
神のような存在とされている。またある平行世界では
地球外から飛来する異性人と戦う装甲怪獣が存在したりと
平行世界ごとに彼らの存在定義・意義が異なることを突き止めたのだ。

さらに研究を進めるべく、息子正太郎は
多次元世界を自由に行き来することができる
スペースシップ「ポチョムキン6号」を開発し、
多次元の世界へ旅に出て8年・・・・・。
不慮の事故により次元の狭間で正太郎は行方不明となり、
今は無人となった「ポチョムキン6号」から
定期的に自動で送られてくる平行世界と装甲怪獣のデータを
この研究所の正太郎のパソコンで受信し、解読するのが
わたしの仕事となっている。

平行世界の出現する装甲怪獣は、わたしたちの世界に
出現する装甲怪獣とそれぞれ体の色も違うため、
正太郎は「亜種」と呼んでいる。
ある意味、わたしたちの世界の装甲怪獣が
「亜種」なのかもしれないのだが・・・。

わたしは正太郎が命がけで集めたこれら
装甲怪獣のデータを後世の研究者のために
守り、語り継がねばならない。
しかし、正太郎のパソコンは何重にもセキュリティが
なされており、父のわたしですらパスワードが分からず、
断片的なデータの抽出しかできていない有様である。


わたしが自力で抽出できた装甲怪獣「亜種」の断片的な
データをここに公開する。

装甲怪獣大百科(写)
 
として。


そしていずれは、セキュリティが
かかっている正太郎の完全なデータ

【真・装甲怪獣大百科】 

のロックを解除することが
わたしの目標である。


そうそう、正太郎がある並行世界の国連防衛軍から
受け取った装甲怪獣の研究機関『Monster Stock Laboratory』
通称MONSTOCKの報告書によると装甲怪獣は
『デストドン(DESTDON)』という名前で呼ばれるらしい。

今日もまた多次元世界を彷徨う「ポチョムキン6号」から
新たな装甲怪獣のデータが送られてくる。

ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・・・・・・
ビー・ビー・ビーっ!!!

んっ?この生態反応は・・・・
しょ、正太郎っ!?正太郎の生態反応じゃっ!!
正太郎、生きておるのかっ!正太郎っ!!
しょうたろ〜〜っ!!

        (つづく・・・かも)



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