このような無言の緊張を考えると、米国は、より対等で開かれた同盟関係を構築するという民主党の約束を大いに喜ぶべきだろう。米国は、言いなりになることをいつもぼやく同盟国ではなく、自信を持って合意を交わし、それらの合意を確実に守る同盟国を必要としている。

 23日に初めて鳩山首相と会談したオバマ大統領は、小泉政権時代の中国との悲惨な関係とは全く対照的に、アジアの近隣諸国とより緊密なつながりを築くという民主党の狙いも歓迎すべきである。

実は米国の考えに即している鳩山プラン

 民主党は、対米関係を貿易や基地問題を超えた領域まで引き上げるというビジョンも持っている。鳩山首相が取った最初の行動の1つは、温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年の水準から25%削減し、中国を含む発展途上国がエネルギー効率を改善する手助けをするという大胆な(無謀と言う人もいる)公約をすることだった。

 また鳩山政権は、消費需要を喚起することによって、輸出の上に築かれた数十年来の経済政策からも脱却しようとしている。これは、世界経済の再均衡化に関する米国の考え方に沿った政策である。

岡田外相、キャンベル米国務次官補と会談

岡田克也外相と会談するカート・キャンベル米国務次官補(右)〔AFPBB News

 公正を期すために言えば、オバマ政権は賢明にも現実的なスタンスを取った。オバマ政権は鳩山首相に、沖縄に関して一息つける時間を与えた。

 米国の東アジア・太平洋担当国務次官補で知日派のカート・キャンベル氏は、新政権の論調に対して温かい反応を示し、「日本が自信を持ち、独立を自覚することが重要だ」と語っている。

 それは正しいアプローチだ。確かに、「友愛」や東アジアの統合に関する鳩山首相の型破りなレトリックを馬鹿にするのは簡単だ。UFOに乗って金星に行ったという鳩山夫人――くだらないことで有名な日本の昼間のテレビ番組のスター――の発言は、日本の新政権をばかにしたい人にとっては格好の材料だ。

 ただ、一般に反資本主義的と思われている鳩山首相のレトリックに関しては、次のように考えてみるといい。もし鳩山氏が、自分の政権は米国主導の市場原理主義を喜んで受け入れる準備ができていると言ったとしたら、どうか? その方がずっと恐ろしいだろう。

By David Pilling
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