武蔵号泣終戦…真っ向勝負で燃え尽きた
最終ラウンド、ジェロム・レ・バンナのパンチ(右)にダウンする武蔵 (C)FEG inc
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K―1ワールドGP開幕戦が26日、韓国ソウルのオリンピック第1体育館で行われ、今年限りでの引退を表明した武蔵(36=正道会館)が、最終ラウンドにジェロム・レ・バンナ(36=フランス)にダウンを奪われて0―3の判定負け。最後の舞台と決めたワールドGPで勝ち上がれず、引退が決まった。ピーター・アーツ(38=オランダ)がアリスター・オーフレイム(29=同)に敗れる波乱はあったものの、連覇を狙うレミー・ボンヤスキー(33=同)らは順当に8強入り。12月5日の決勝戦の対戦カードは27日の抽選会で決まる。
【試合結果】
リング上で号泣する武蔵の姿に、日本の、韓国のファンが泣いていた。バンナに無念の判定負け。花道を引き揚げると、ラストファイトを見届けた観客から温かい惜別の言葉が飛んだ。「勝つために一生懸命やってきて悔しい部分はあるが、自分自身は満足。辞めることを取り消すことはないし、リングに上がるつもりはありません。後悔はない」。武蔵は左目こそ腫らしていたものの、会見場ではすっきりとした表情で引退を表明した。
いつもの武蔵とは違った。リングに上がる前にはセコンド陣と円陣を組んで気合を入れた。1、2ラウンドは距離を詰めて左右のパンチを繰り出し、リズム良く攻撃。しかし、最終ラウンドの2分27秒、バンナの強烈な左フック、右ストレートを顔面に受けてマットに崩れた。ダウン。倒し返さない限り負けは確実となったが、武蔵は一瞬笑顔を見せると「来い!」と叫んで再びパンチを出し続けた。「自分は挑戦する気でリングに上がった。京太郎や後輩たちにヘビー級の外国人と戦っても、やりあえるというところを見せたかった」。“武蔵流”と呼ばれ批判も多かった、距離を取ってポイントを稼ぐ戦い方を捨て、最後は真っ向勝負に徹して敗れた。
日本の大黒柱としてK―1を引っ張り続けて15年間。一番の思い出は04年の決勝トーナメントですべて延長戦を戦い、計13ラウンドを戦い抜いたことだという。そのとおりに最後までファイトし続けた姿に、谷川貞治イベントプロデューサーも「武蔵はよく頑張ったし、“武蔵流”じゃない武蔵を見た」と称えた。大きな外国人相手にワールドGP2度の準優勝は日本人の誇り。来年3月にも引退試合を行う男は、果たせなかった日本人GP優勝の夢を後輩に託してリングを去った。
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