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「深夜羽田発」で欧米へ!?2010年、羽田空港はこう変わる

nikkei TRENDYnet9月25日(金) 11時37分配信 / 経済 - 経済総合
「深夜羽田発」で欧米へ!?2010年、羽田空港はこう変わる
2010年秋、新滑走路の供用開始に伴い、羽田空港が本格的な国際空港へと進化する。
 2010年秋、新滑走路の供用開始に伴い、羽田空港が本格的な国際空港へと進化する。この影響で日本の“空”が激変。一方、鉄道でも来年末には東北新幹線が新青森まで延伸。飛躍的に進化する交通サービスのなかで、消費者の支持を得るのは何か。

【詳細画像または表】

 深夜に羽田空港を出発すれば、翌朝にはアジアやヨーロッパに到着。1泊3日、2泊4日で気軽に海外を楽しむ。来年はこんな旅行スタイルが定着する。

 きっかけとなるのは、現在、空港沖合に建設中のD滑走路。羽田空港では4本目となる新たな滑走路が2010年10月に供用を開始する。これに伴い、航空便の発着枠は一気に拡大。国内線の増便に加え、国際線の定期便も就航。羽田は、本格的な国際空港に進化する。

羽田空港が激変する

 成田空港とすみ分けを図るため、昼間に羽田から飛ぶのは中国や韓国、香港、台湾などの近距離路線のみ。だが成田が使えない夜23時から翌朝6時までの深夜早朝には、アジア路線のほか、欧米路線も羽田に就航する見込みだ。現時点では航空会社こそ未定だが、アジア地域では中国や韓国、香港のほか、タイやマレーシア、シンガポール、長距離路線では北米が米国やカナダ、欧州はドイツ、オランダ、フランス、イギリスなどが計画されている。

 羽田が国際化されると、関東だけでなく、地方在住者の利便性も飛躍的に向上する。例えば国際線利用時、地方から羽田空港に出て、その後成田まで移動していたユーザーは今後、羽田に出るだけで国際線に乗り継げるようになるからだ。

 特に旅行会社が期待するのは、深夜早朝帯の近距離路線。すでにチャーター便では羽田空港発で土曜早朝に出国し、月曜早朝に帰国する1泊3日の「週末韓国ツアー」の人気が高い。羽田国際化後は、「“週末気軽に海外へ”という切り口でさまざまなプランが販売できる」(近畿日本ツーリスト・東日本海外仕入ホリデイ事業部の村田悟業務課長)。不便な時間帯なので旅行料金が安くなる可能性も高く、「気軽さと安さで、確実に一つの人気ツアーにはなる」と話す旅行会社は多い。

 一方、長距離路線で人気が出そうなのは欧州。例えばドイツ、フランスの場合、深夜0時半に羽田をたつと、現地時間の早朝5時には着く。一見すると不便な時間だが、現地空港で始発便に乗り継げるのが利点。日本から直行便のない都市でも、深夜に出れば、翌日の午前中には到着する。タイトなスケジュールだが、「出張や、現地の観光時間を十分取りたい人には支持される」(全日空・企画室ネットワーク戦略部の平澤寿一担当部長)。

 羽田が国際化されれば、国内線からの圧倒的な乗り継ぎの良さや深夜早朝という特殊な時間帯を生かした新たな旅行形態が、ほかにも登場するだろう。

路 線

ココが変わる1

深夜早朝には欧米便も就航主要路線が羽田に集まる

 新滑走路の供用により、羽田空港の発着枠は増加。昼間だけでも年間約30万回の発着回数は、新滑走路の供用開始から半年後には約35万回、将来は約40万回まで増える。特に成田空港が閉鎖される深夜から早朝には国際線も強化。欧米の長距離路線も開設される見込み。現状、運航権益について合意に達し、就航する可能性が高い国は右表の通り(一部便数を交渉中の国も含む)。また深夜発の欧州便などは、利便性が高そうだ(下表参照)。

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昼間は中国、韓国路線が中心成田と競合し、航空券は安く

 羽田空港に昼間就航するのは中国や韓国、香港、台湾などの近距離路線の便が中心。ただ、これらの便は成田空港でも就航しており、羽田と成田が競合するのは必至。アクセス面でやや不便な成田空港発の便は航空券が安くなる可能性が高い。

ココが変わる3

国内線は地方路線が増加新規航空会社は幹線を強化

 国内線の発着枠も増加。現時点では航空会社への配分内容は決まっていないが、日本航空と全日空の大手2社は地方路線を強化する方針。既存新規航空会社は幹線を強化するケースが多く、スターフライヤーは増枠分で、新たに羽田―福岡路線に参入する計画だ。

 

成田に次ぐ規模の免税店も目玉

 羽田の国際化で変わるのは路線だけではない。新滑走路の供用開始と同時に、国際線の新旅客ターミナルも開業。現在の国内線ターミナルからはやや離れるが、京浜急行や東京モノレールの駅が新設される。5階建ての新ターミナルビルは本格的な国際化や24時間化を見据え、仮眠室やシャワールームなどを用意。商業施設も強化される。

 特に注目が集まりそうなのは免税店。新国際線ターミナルでは、成田に次ぐ規模となる約4100㎡の免税品売り場が設けられる。扱うブランドも「ほかの国際空港にはない新しい人気ブランドを入れていきたい」(免税品売り場を運営する日本空港ビルデング・事業開発本部の徳武大介室長)。出国審査場の先に免税店が集積するので、成田と比べてブランド品の買い回りもしやすい。これらも要因となり、羽田の国際化は大きな人気を集めそうだ。

空港施設

ココが変わる4

新たな国際線ターミナルがオープン免税店、エンタメ施設が充実する

 国際線ターミナルも新たにオープン。延べ床面積は約15万4000㎡で、現在の羽田空港第2ターミナルとほぼ同じ規模だ。成田に次ぐ広さの免税品売り場を設けるほか、日本の過去・現在・未来をテーマに江戸時代風の飲食店街やアニメなどのキャラクターの物販店、プラネタリウム風のゆったりした空間などを設ける。

ココが変わる5

国内線第2ターミナルも大幅増床“ラウンジ風”のロビーが特徴

 国内線の増枠を見込んで、国内線の第2ターミナルも増床。現在はターミナル中央から北側しか使われていないが、南側にチェックインカウンターなどを増設。ロビー全体がラウンジのような、くつろげる空間となる予定だ。飲食店も増える。

成田、関空、新千歳空港も変貌

 主要国際線の就航や新ターミナル完成で羽田空港への一極集中が予測されるなか、減便が相次ぐほかの国際空港は旅行客を奪われる懸念が出てきた。だが、ほかの空港でも利用者を増やす新たな取り組みが始まっている。

 例えば関西国際空港は、来春、開港以来初となる大型リニューアルを行う。出国審査場通過後のエリアを従来の約1.5倍に増床し、飲食施設や免税品売り場を強化する。新規航空会社も積極的に誘致。関空にはすでに複数の格安航空会社(LCC)が就航しているが、今年12月には韓国のLCC、ジンエアーも就航を計画している。「中国各地と関空を結ぶ路線も一層拡充する」(関西国際空港・お客様本部 航空営業部の矢野忠副部長)ことで、羽田空港との差別化を図る狙いだ。

 ほかにも、来年3月には新千歳空港が国際線ターミナルを新設。日本初のローコスト空港となる茨城空港が開港するなど、話題は尽きない。来年度中には新型スカイライナーも開通。日暮里─成田空港第2ビル間を36分で結び、成田へのアクセスは飛躍的に向上する。来年、日本の“空”は大きく変わり、今まで以上に海外が近くなる。

日本各地の空港が進化成田、関空も利便性が向上

 羽田空港の国際化によって影響を受けるのは関西国際空港や中部国際空港。例えば現在、鉄道で関空まで出ている北陸エリアの旅行者は、国内線で地元から羽田に飛び、そこで国際線に乗り換える可能性が高くなる。そこで羽田以外の主要空港でも、2010年に向けて空港内の改装や増床、国際線ターミナルの新設、新規航空会社の誘致など、次々と新たな取り組みを始めている。2010年、日本各地の空港が変貌する。

新千歳空港

外国人観光客の増加を受けて国際線ターミナルを新設 アジアからの観光客の増加を受け、2010年3月に国際線ターミナルを新設。今は国内線ターミナルの端にあるが、駐車場を挟んだ場所に建設。現在の約5倍の広さになる。

中部国際空港

大型改装はなく、貨物便の利用を強化 05年に開港したばかりのため、大型改装などの予定はない。トヨタなどの業績悪化に伴い、ビジネス利用が激減。減便も続くが、貨物便を中心に航空便の利用を促していく。

茨城空港

日本初のローコスト空港が3月に開港就航を表明するのはアシアナだけ 来年3月に開港予定の茨城空港。自走式の駐機場や搭乗橋を使わない搭乗方式を採用し、ローコスト空港として成田や羽田と差別化を図る。だが現在、就航を表明しているのはアシアナ航空だけ。

成田空港

中東路線が拡充される鉄道アクセスも便利に 成田空港でも滑走路の延伸や誘導路の新整備により、今年10月から発着枠が年間2万回分増加。ドバイなどの中東路線が新たに開設される。来年度中には新型スカイライナーが開通し、アクセスの利便性も向上する。

関西国際空港

開港以降、初の大幅改装LCCの就航も増える 開港15周年となる関空は、来年3月までに大型改装を実施。出国エリアを中心に、免税店や飲食、ラウンジなどを約3700㎡から約5500㎡に増床する。本館免税店は20店舗から26店舗に増える予定だ。ほかにも新規航空会社を積極的に誘致。特にLCCは今後も乗り入れが増え、今年12月には、大韓航空の子会社LCC、ジンエアーが就航を計画している。

鉄道の目玉は東北新幹線の延伸

 劇的に変わる空の旅に対して、鉄道が大幅に進化するのは2011年だ。だが、その兆しは来年から表れ始める。

 まず2010年12月には、東北新幹線が八戸から新青森まで延伸される。開通直後は東京─新青森間を3時間20分程度で結び、2010年度末には最速3時間10分に短縮する計画だ。

 距離にすればさほど長くはないが、新青森まで延伸される意味は大きい。というのも、青森まで新幹線がつながれば「周辺の津軽半島や下北半島、白神山地などへのアクセスが格段に良くなる」(JR東日本・鉄道事業本部営業部びゅう事業課の渡辺厚課長)からだ。延伸後は、青森県内を回るツアーのほか、北東北エリア全域を周遊するなど、新しい旅行のニーズも掘り起こせそうだ。ただ、スーパーグリーン車などのある新型「はやて」(E5系)が投入されるのは2010年度末から。このタイミングに合わせて、JRグループで青森のキャンペーンも行う予定だ。延伸効果で注目を集めるのは、2011年春以降になるだろう。

 また2011年春には九州新幹線鹿児島ルートも全線開通し、山陽・九州新幹線の直通運転もスタートする。新型車両「さくら」が投入されるのも、このタイミングだ。今夏からは、鹿児島ルートの全線開通に向けてデザイン面を進化させた新型「つばめ」(新800系)が導入され始めている。

(文/日野なおみ=日経トレンディ)

東北新幹線が新青森まで延伸

 来年12月には東北新幹線が新青森まで延伸。八戸駅と新青森駅の間には、七戸十和田駅も新設される。加えて2010年度末には新型「はやて」(E5系)の運行を開始。延伸当初は東京―新青森が3時間20分程度だが、E5系の導入で2010年度末には所要時間が3時間10分程度になる見込み。

東北新幹線が新青森に延伸新型車両の導入は2011年

 鉄道では今後、来年末に東北新幹線が東京―八戸から東京―新青森に延伸される。その後、2010年度末には新型「はやて」(E5系)も導入。同じく2011年春には九州新幹線鹿児島ルートが全線開通し、山陽新幹線と九州新幹線の直通運転も始まる予定だ。開通すれば、九州―大阪間などは新幹線と飛行機との競争が激化する。

九州新幹線は2011年に鹿児島ルートが全線開通

 九州新幹線鹿児島ルートが全線開通するのは2011年春。それに先駆け、JR九州では全線開通時に運行する新型「つばめ」(新800系)を今夏から導入している。ただし、山陽・九州新幹線の直通運行に使用されるのは別車両の「さくら」(N700系7000番台)となる。



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  • 最終更新:9月25日(金) 11時37分
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