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【政治】首相『核カード』返上 国連安保理で演説2009年9月25日 07時04分 鳩山由紀夫首相が24日、国連安保理での演説で、核廃絶に向け世界の先頭に立つ決意を示し、その証左として核保有の可能性を完全に否定した。「核兵器のない世界」を追求するとしたオバマ米大統領の演説に共鳴したものだ。だが、日本が世界最大の核保有国・米国に守られている現状との矛盾も否定できない。 (ニューヨークで、竹内洋一) 首相は演説で「近隣の国が核開発を進めるたびに『日本の核保有』を疑う声が出る」と指摘。「それは唯一の被爆国として責任を果たすため、核を持たないのだという、われわれの強い意志を知らないが故の話だ」と非核を誓った。 実際、近隣国に日本の核兵器保有を懸念する声は絶えない。歴代の自民党政権が非核三原則を踏襲するとしながらも、憲法は核兵器の保有を禁じていないとの立場を取り、含みを残してきたからだ。 最近では二〇〇六年十月、当時の麻生太郎外相や中川昭一自民党政調会長が核武装の議論を提起した。「核保有カード」をちらつかせることで、北朝鮮をけん制するのが狙いだったが、周辺国からは非難が相次いだ。 その一方で、直後に来日した当時のライス米国務長官は麻生氏に「米国は同盟国・日本を守る義務を完全に認識し、果たす」とわざわざ確約した。国際政治のパワーゲームの中で「核カード」が一定の効果を発揮してきた側面もある。 首相の演説は、日本がこうした外交駆け引きから降りることを意味する。背景には、被爆国・日本が将来にわたり核兵器を保有せずと宣言もできないで、核廃絶の先頭に立てるわけはないという思いがある。首相の友愛精神と、オバマ米大統領が核廃絶への道筋を示した四月のプラハ演説が響き合った結果でもある。 だが、首相はオバマ大統領との会談で、日米同盟の堅持を確認したばかりだ。日米同盟の核心は、日本が米国の「核の傘」に守られることにほかならない。米国やロシアに核軍縮をのませることができなければ、首相の誓いは単なるきれいごとになる。 (東京新聞)
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