広島放送局

2009年9月26日 9時57分更新

安保理決議 広島では評価の声


国連安全保障理事会の首脳会合がニューヨークの国連本部で開かれ、「核兵器のない世界」を目指して、核軍縮などに取り組むとする決議を全会一致で採択しました。
被爆地・広島では評価する声が上がっています。

安保理の首脳会合は、アメリカのオバマ大統領の呼びかけで開かれ、会合では、新しい決議が全会一致で採択されました。
この中には、「核兵器のない世界」を目指して、核保有国が核軍縮を進めるとともに、テロリストの手に核兵器がわたらないよう核の監視と管理を進めること、さらに原子力の平和利用の促進などが盛り込まれています。
被爆地・広島では決議を評価する声が上がっています。
広島県被団協の坪井直理事長は、「被爆者にとってとても喜ばしいことだ。完ぺきな形でなくても、世界が『核のない世界』になるんだということをわたしたち被爆者が生きているうちに体感してみたい。被爆者としても、今後は被爆体験を証言する活動などこれまでの取り組みにいっそう力を入れていきたい」と話しています。

また、もう1つの広島県被団協の金子一士理事長は「核保有国であるアメリカの呼びかけで決議がまとまったことは、これまでと180度転換することで、歴史的に大きな意味があると思う」と高く評価した上で、「各国の足並みはすぐにはそろわないかもしれないが、唯一の被爆国・日本が非核三原則を厳守し、核廃絶に向けて世界で主導的な役割を果たすことで、各国間の食い違いは解消されていくのではないか」と述べて、今後の日本政府の役割に期待を示しました。

広島平和研究所の浅井基文所長は「これまで『核廃絶』と言うことすらはばかられていた状況から見れば、今回の決議は大きな一歩ではある。しかし決議の中身は拘束力のないもので、今後すぐに具体的なステップがとられると考えるのは誤解だ」と指摘しました。
また浅井氏は、鳩山総理大臣が演説で核廃絶に向けて主導的な役割を果たしたいと表明したことについて「非核3原則を唱えながら他方ではアメリカの核の傘に頼るというのは矛盾だ。今こそ鳩山政権は選択を迫られており、それを変えることができれば世界を変えることができる」と述べ、日本政府はまず国内の状況から取り組むべきだという考えを示しました。

国連安全保障理事会の首脳会合で「核兵器のない世界」を目指す決議が全会一致で採択されたことについて、広島市の秋葉市長は記者団に対し「“豊かな未来を作る”という国連本来の目的のために世界のリーダーたちが合意をしたもので、時代を画する大きな出来事だ」と述べて、決議を歓迎しました。
また鳩山総理大臣については「日本の総理大臣として被爆者の思いをきちんと伝えてくれたことが、決議採択の基盤となったと思う。来年のNPT・核拡散防止条約の再検討会議をはじめ、核廃絶に向けて世界を引っ張る役割を果たしてくれるものと期待している」と述べました。