実践ビジネススクール
2009年 9月 25日

業務革新成功の秘訣は「完璧より70%」主義

多くの「業務革新」が頓挫してしまうのには理由があった

どんなに成功を収めた手法でも、10年1日のごとく同じことを繰り返しているようでは未来がない。

どんなに成功を収めた手法でも、10年1日のごとく同じことを繰り返しているようでは未来がない。賢明な経営陣はそのことに気づいているのに、「業務革新」が掛け声倒れに終わるケースが後を絶たないのはなぜなのか。

アメリカ最大のトラック会社の挑戦

業務革新は難しいことで知られている。基幹的な業務プロセスを遂行する新しい方法を開発し、実行することの効果は議論の余地がない。それは事実上あらゆる産業の一流企業で成功への跳躍台になってきた。だが、多くの企業が、業務革新の効果を挙げる取り組みに失敗してきた。成功の秘訣は何なのか。ウィスコンシン州の運送・物流会社、シュナイダー・ナショナルの経験は、業務革新を成功させる方法について実地の教訓を与えてくれる。

1935年創業のこの非公開会社は長年にわたって成長を続け、90年代後半には総積載量でアメリカ最大のトラック運送会社となり、ウォルマート、ジョージア・パシフィックなどの顧客にサービスを提供していた。年間売上高は30億ドル弱、従業員数は2万人超に達し、同社のオレンジ色のトラクターやトレーラーはアメリカのハイウエーではお馴染みになっていた。

しかし、2000年には、同社の成長は横ばいになり、生産性は下がり、資本利益率も落ち込んだ。従来どおりのことを拡大する戦略こそが、同社を窮地に追いやった要因だった。トラック運送業のような競争の激しい産業では、競争相手より優れたサービスを顧客に提供していくことが成功へのカギだと経営陣は判断した。顧客満足度に関する目標が高めに設定され、顧客の見積もり依頼に対して見積書を作成・提出する業務を改善するプロジェクトが開始された。見積書作成の新しい方法を開発するために、きわめて有能な社員を集めたチームが結成された。彼らは数々のすばらしいアイデアを生み出し、新規業務獲得のチャンスについてかなりの期待が持たれた。だが、この取り組みの最終的成果はゼロだった。何の改革もなされず、今までどおりのやり方が続いたのである。

だが、シュナイダーのリーダーたちはそれで諦めたりせず、別の方法でこの取り組みを再開し、今度は驚異的な成功を収めた。顧客の見積もり依頼に応じるのにかかる時間は、かつては30~45日だったが、それが1~2日に短縮された。こうした成果はプロジェクトが開始されてから9カ月足らずで表れ、2年以内に完全に実現された。競争相手よりはるかに迅速に顧客の要請に応えることで、シュナイダーは競争優位を得た。結果、同社の落札率は約70%アップし、年間売上高は数億ドル増加した。皮肉なことに、1度目のプロジェクトで開発されていたアイデアの多くが、新しいシステムであらためて活かされることになった。

最初の取り組みと2度目の取り組みの間には、失敗と成功を分かつ違いがあった。次に記す6つの重要な要因が成否を分けたのだ。

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マイケル・ハマー

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