スローガン:螺旋−共生社会への歩み−
ご挨拶
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日本児童青年精神医学会は,1960年に設立され,まもなく設立50周年を迎えます。今年の総会は,第50回を記念する総会となるため,学会設立当初から事務局が京都に置かれていることもあり,京都で開催されることになりました。これまでにも,第7回,第25回,第31回の総会を京都で開催しており,今回は4回目の京都開催となります。また,本学会は,国際児童青年精神医学会(IACAPAP)に加盟しており,1990年には12回国際児童青年精神医学会が,やはり京都で開催されました。
本学会は,一般会員が現在3,200名を越えるまでに成長発展しました。しかも,そのうち精神科医や小児科医など医師は,1,740名で半数にすぎず,心理・保育・教育・福祉・司法など広範囲にわたる関連職種の会員が,保護者も含め半数近くを占めるという構成からも明らかなように,本学会は,医学会ながら医師のみの閉鎖的な学会ではなく,多くの人々に開かれた学会運営を行なっています。子どもの精神医療は,医師のみですべてを行なえるものではなく,様々な職種の人たちや御家族と連携し協力し合って行なう医療だからです。
本学会は,40年前に,学会改革委員会を発足させて,開かれた学会へと自己改革しました。その際,医学会開催にあたっては,多くの医学会が財政的に製薬企業に大きく依存していた悪弊を,一度は断ちました。しかし残念ながら,近年再び製薬企業への財政依存が復活してきました。なぜ40年前に製薬企業からの財政援助を断ったのか,その理由も含め学会改革の歴史が忘れられつつあります。
第50回記念総会では,学会改革の原点に戻り,しかし単なる原点回帰ではなく,新たな歴史の高みへと螺旋的に向かいたいと思います。目指すところは,様々な属性の違いを認め合いながら『共生する社会』だと考えています。
ところで,最後は患者さんにツケをまわすことになる製薬企業への財政依存を,今総会では再度止めることにいたしました。本来の負担を会員の皆様ひとりひとりにお引き受けいただきたいのです。どうか,皆様にはこの趣旨をご理解いただき,お誘い合わせの上,多数ご来場くださることを切に希望いたします。わが国における児童青年精神医療の充実発展に,皆様と共に寄与していきたいと心から願っております。
第50回日本児童青年精神医学会総会 会長 門 眞一郎
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