(CNN) エイズウイルス(HIV)のワクチン開発を進める米陸軍の医療機関と米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は、タイで実施した新型ワクチンの臨床試験で、感染リスクを低減できうる結果が得られ、HIVワクチンの開発に光明が見えたと明らかにした。詳細は10月にパリで開かれるエイズ・ワクチン会議で発表する。
NIAIDなどの研究者は、タイの18歳から30歳までの1万6000人以上を対象に、臨床試験を実施。半数に仏サノフィ・パスツールなどが開発したワクチンを、残る半数に対照試験として偽薬(プラセボ)を接種した。ワクチン接種後、3年にわたって被験者を追跡した。
その結果、ワクチンを接種したグループでHIVに感染したのは51人だったが、プラセボ接種グループでは74人と、有意差が認められた。感染リスクは約31%、ワクチン接種グループで低かった。
米陸軍のジェローム・キム大佐は、臨床試験で用いたワクチンは、タイで流行しているHIVに対応したものであり、他地域での有効性は不明だとしながらも、これまで不可能だと考えられていたHIVワクチンの開発に道が開ける結果だと指摘している。