WEBタイムス 2008年(平成20年)5月30日1017号
 社会・福祉

久家さん科学創造塾開塾 考える力持つ子育成 元高校教頭が己斐で6月

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「子どもたちに伝えたいことがたくさんたまっている」と開所を楽しみにしている久家さん
 【西区】元高校教頭の久家光雄さん(54)が、科学実験を中心にした塾「科学創造塾」を6月に開く。「国際社会で活躍するような、考える力を持った子どもを育てたい」と、定年を六年後に控えながらも辞職を決め再出発を選んだ。教室は広電西広島駅近くの広島市西区己斐本町一丁目藤田ビル二階。月謝は月四回の受講で一万円程度から。小学校低学年から高校生、一般までを対象に入塾者を募っている。
 理科教育や教員研修プランニングの専門家としてケニアに赴いた体験が、開塾を思い立たせた一因となった。「ケニアでは母語スワヒリ語のほかに、小学校低学年から英語を学ぶ」と久家さん。積極的に海外へ出て医者などになって活躍する人も多いという。思考力習熟度を測るOECDの国際的なテストで、日本の子どもの結果が良くなかったことも拍車を掛けた。「もしかすると、国際社会から日本だけ置いてけぼりにされるのではないか」と懸念がいっそう深まった。
 塾では、社会で生き抜くために自分で考えることのできる力を養う。メーンは、科学実験。水、氷、土、空気など親しみやすい科学現象をテーマに、一回につき一つの実験に取り組む予定だ。参考書のようなテキストは使わない。「最初に遊びのような不思議な実験をして、子どもから『なぜ?』を引き出す。なぜそうなるのか、状況を変えたらどうなるのか皆で話し合う。いろんな方向からじっくり考えるくせを付けていく」(久家さん)。
 平日のメーンのコースとは別に、土曜日には希望者に向けたセミナーを設ける。「未来型学習のフルコース」と子どもたちに勧める自由研究を手伝ったり、実験の補習をしたりする。屋外での自然観察や研究施設の見学なども計画している。今夏は、西表島で野外活動をする予定だ。
 「定年になるまで待つと、自分の意欲がなくなってしまうのでは」と恐れ、リスクのある道を取った。「子どもたちに伝えたいことがたくさんたまっている」と、開塾を前に胸が躍る。「(この塾から)世界で活躍する人が必ず出ます」。スタートを切る五十四歳は今、情熱に満ちている。
 問い合わせは、科学創造塾TEL070・5520・4331。


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