【ピッツバーグ上野央絵、ニューヨーク野口武則】在日米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画の見直しをめぐり、鳩山由紀夫首相は24日夜(日本時間25日午後)、記者団に「年内に決めることなのか、見極める必要がある」と、事実上先送りする考えを示唆した。岡田克也外相はこれまで、年内に方向性を示すべき課題と位置付けており、首相と外相の食い違いが表面化した格好だ。日米の政府間合意と、衆院選での約束に期待する沖縄県民との板挟みに苦しむ新政権の台所事情が背景にある。
クリントン米国務長官は、21日(現地時間)の岡田外相との会談で「現行計画の実現が基本だ」とクギをさした。首相が「先送り」を示唆したのは、今回の訪米で米政府の厳しい姿勢を実感したためとみられる。
普天間飛行場移転の根本には、負担の県内での引き受けを強いられている沖縄県民の不満があり、首相が衆院選のさなかに「県外移設」を口にしたのもそのためだ。首相は24日も「県外移設」の主張は撤回しない考えも示さざるを得なかった。
岡田外相は24日(現地時間)、現行計画を容認する結論も排除せずに日米の合意内容を検証する方針も明らかにした。「先送り」した首相の真意をくみ取り、十分な情報や米側の感触を確かめないまま発言だけが先行した野党時代の姿勢を徐々に修正しようと試みる可能性もある。
防衛省幹部は「米国という相手がある話だ。先送りして時間を稼ぐしかない」と指摘する。外務省幹部も「今回の訪米で確認したのは日米同盟という大きな枠組み。個別の問題はこれからだ」と述べ、いずれもこの問題の「先送り」に期待を寄せている。
毎日新聞 2009年9月25日 21時32分(最終更新 9月25日 21時34分)