2009年9月25日2時4分
当時の首相である祖父・一郎は「友愛」思想の唱導者でした。友愛とは、自分の自由と自分の人格の尊厳を尊重すると同時に、他人の自由と他人の人格の尊厳をも尊重する考え方です。
重光葵の演説にある「架け橋」という考え方が、一郎の友愛思想と共鳴していることは実に興味深いことです。
それから53年後の今日、同じ国連総会の場で、私は日本が再び「架け橋」としての役割を果たさんことを、高らかに宣言したいと思います。
議長。今日、世界はいくつもの困難な挑戦に直面しています。決して、やさしい時代ではありません。しかし、「新しい日本」はそのような挑戦に背を向けることはしません。友愛精神に基づき、東洋と西洋の間、先進国と途上国の間、多様な文明の間等で世界の「架け橋」となるべく、全力を尽くしていきます。
本日、私は日本が架け橋となって挑むべき五つの挑戦について述べます。
第1は、世界的な経済危機への対処です。
世界経済は、最悪期を脱したかに見えるものの、雇用問題をはじめ、予断を許さない状態が続いています。
そこでまず、日本がやるべきことは、自身の経済再生です。新しい日本にはそのためのプランがあります。
年間5・5兆円の子ども手当は、教育への投資であると同時に、消費刺激策であり、少子化対策となります。
自動車の暫定税率の廃止は、年2・5兆円の減税策であるとともに、流通インフラの活性化によって日本産業のコスト競争力を改善することが期待されます。
後で述べるように、我々は極めて高い気候変動対策の目標を掲げていますが、そのことによって電気自動車、太陽光発電、クリーンエネルギー事業など、新しい市場が生まれるでしょう。また、海洋・宇宙・次世代ITなどの分野でも、新産業・新技術の創造を通じて安定的な成長力を確保します。