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小説『First Name』序章 6
この世界に圧迫感を感じ始めた。 何が起きてるんだ? さっぱりわからない… 俺は2億を節目に… 数を数えることを止めた。 ヤバい… 早くここから出なきゃ。 俺は何もわからないけど… とりあえず危険を感じた。 すると… ポン… ポン… 周りの水が振動して俺に伝わる。 壁から音がする! 壁に寄り添い… 耳を傾けると… 「おーい、中にいますかー?」 ッ!!? 幻聴…… じゃ… ないッ!! 完璧に聞こえてる外からの声!! いるッ!! 俺はここにいるッ!! 助けてくれ!! そう訴えるように… 俺は壁を叩いた。 思いっきり… 出せる力を出して… 壁を蹴りまくった! 出せ! 出せッ! 出せッ!! 出せッッ!!! すると… “ゴポゴポッ…” と聞こえる… 不吉な音。 ヤバい! 水が抜けてきた! “ザパンッ…” と… 頭が水の外に出た。 息は… できるのか? しかし… 俺の呼吸のやり方を忘れていたし… 何よりそこに酸素はなかった。 また俺は水に潜った。 逃げなきゃ! 窒息するッ!! 一度死んでなお… 味わうことになった死の恐怖! どこから水が抜けてる!? 下? 下だ!! 俺はクルッと下に頭を向けて… 水の抜ける穴に頭を突っ込んだ。 苦しい… 何もかも久しぶりだ… この生きてる感じ。 水の抜ける先は… 光が漏れてる。 光だ… 出れる… 出れるぞッ!! 俺は光に向かって飛び出した。 しかし… ダメだ… 出れない… 苦しい… 水で満たされてた肺に… 一度、酸素のない場所で空気を取り込もうとしたためによる… 絶息状態。 何より… この光の先は狭すぎる。 今まで溜めてた分もあって… 壮絶なストレス。 もうダメだ… 息苦しさで… 気が遠くなった。 また… 死ぬのか… ここまで来たのに… すると意識を失いそうになった瞬間… 誰かが眩しい光から俺を引きずり出した。 「ほら頑張って!」 こは…る? 俺は声のする方へ… 最後の力を振り絞った。 そして遂に全身が外に出た。 眩しくて目が開けられない。 でもここは圧迫感がなくて息苦しくない。 俺は朦朧とした意識の中… 引きずり出してくれた人の手の上で… 肺に目一杯酸素を入れて… 叫んだんだ。 「オンギャーッ!!」 ま… まさか俺… 産まれたのか?
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