ともに頂点を極めた男2人が、意地を張り合った。内藤のスポンサーでジムの近所にある大手玩具メーカー、タカラトミー本社(東京・葛飾区)で行われた会見には30社約80人の報道陣が集結。興毅と内藤は周囲の目を気にせず、おもちゃを奪い合う子どものようにお互いをののしりあった。
内藤「あのー、ファンあってのプロスポーツ。お客さんは喜んでくれると思う。一生懸命がんばります」
興毅「チャンピオンさんよぉ、ありふれたコメントしか言いませんな。ハキハキしゃべらんと、シャキッとせんと」
07年10月に亀田家の次男・大毅(20)が内藤に挑戦したさい、反則行為を繰り返し、大毅にボクサーライセンスの1年間停止、父・史郎氏(44)にセコンドライセンス無期限停止処分が下された。あれから約2年。亀田家と内藤との間に生まれた因縁は、長男がかたきを取るべくリベンジマッチとなった。
内藤のV3戦となった昨年7月以来約1年2カ月ぶりに憎き相手と対面した興毅の怒りは、とどまるところを知らない。王者の年齢が35歳であることに「年も年。大したパンチもスピードもないしな」とダメ出し3つで酷評。「久々に予告でもしよか? 3回で仕留めます」と必勝宣言までしてみせた。
94年12月に薬師寺保栄と辰吉丈一郎が死闘を繰り広げ、平均視聴率39.4%(関東地区)をたたき出した、WBC世界バンタム級王座統一戦に並ぶといわれるビッグマッチ。場外乱闘は興毅の完勝に終わったが、最終的には結果がすべて。11・29のリング上で因縁に終止符が打たれる。(江坂勇始)