琴光喜を豪快な上手投げで破った把瑠都=両国国技館
「大相撲秋場所・12日目」(24日、両国国技館)
小結把瑠都が大関琴光喜を上手投げで破り、2敗同士の対決を制した。把瑠都は関脇以下の力士で1986年の保志(八角親方)以来2人目となる全5大関撃破も達成。身長197センチの怪物が、初優勝を狙う。全勝の朝青龍が大関魁皇を寄り切り、単独首位をキープ。横綱白鵬は大関日馬富士を上手投げで退け、1敗を堅持した。
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「エストニアの怪物」が、軽々と23年ぶり快挙を成し遂げた。強烈な突っ張りで琴光喜を突き放し、素早く右差し左上手で相手を封じ込めると、豪快に左手一本で投げ捨てた。どちらが大関か分からぬ圧巻の勝ちっぷりに、館内では驚嘆と称賛の歓声が響いた。
把瑠都は「(琴光喜の)足がそろってたから投げやすいかなと思ってやってみた」と涼しい顔。今場所は日馬富士、千代大海、魁皇、琴欧洲、琴光喜の5大関を撃破。5大関総ナメは1986年の保志(横綱北勝海、現八角親方)以来2人目だと知らされても「そうなの、全然意識ない。白星は白星」と無関心を強調した。
2敗対決を制し「可能性まだあるよね」。見つめる先は、初の賜杯だ。師匠の尾上親方(元小結濱ノ嶋)は、場所前から意識の変化を感じていた。「夏巡業から帰京後、熱があるのにけいこに来てた。病院に行かせたら新型インフルエンザに感染していた」。もっと強くなりたい、という思いがフラフラの体をけいこ場へと向かわせた。
「場所前はインフルエンザで大変だったけど、いいけいこができた。調子も幕内に入ってから一番いい」と手応えは十分。三役では自身初となる2ケタ勝利も達成した。「あと3日、最後の最後の力をね」。大関とりへの足掛かりとするためにも、あと3つ白星を上乗せする。
(2009年9月25日)