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どこへ消えた福祉補助金 全精社協元事務局次長 「流用は幹部指示」「ヤミ献金」

全国精神障害者社会復帰施設協会が運営する「ハートピアきつれ川」=栃木県さくら市(徐暎喜撮影) 福祉に使われるはずだった補助金は、どこへ消えたのか。業務上横領容疑で大阪地検特捜部から任意同行を求められた全国精神障害者社会復帰施設協会(全精社協)の元事務局次長(58)は、経理を一手に担う立場を利用し、国の補助金を次々と裏金に変えていった。「政治家や厚労省元幹部へ流れた」とする証言は真実なのか。「先進施設」として注目されながら、これまでに何度も問題になった福祉施設をめぐる疑惑の解明が始まった。

 元事務局次長が約1週間前から入院するさいたま市内の病院では24日午前8時過ぎ、大阪地検特捜部の係官が到着。主治医の許可を得て任意同行を求めた。午前10時10分ごろに出入り口に現れた元事務局次長はマスクを付けたうえタオルで口元を覆い、終始うつむき加減で捜査車両に乗り込んだ。

 事件の発端になった全精社協の不明朗会計が明らかになったのは昨年3月。ハートピアきつれ川の運営権を譲渡された際に職員の退職金として引き継いだ約4500万円のうち、一部が施設の運営資金に充てられていたことが役員会で報告されたという。

 これを受けて行われた内部監査では、退職金の流用にとどまらず、次々と不正会計が明らかに。1800万円あるはずの基本財産はほとんどなくなり、逆に多額の債務超過に陥っていたことも分かった。

 このずさんな経理を取り仕切っていたのが元事務局次長だった。さまざまな団体で事務員として働いた手腕を前会長(故人)に買われ、16年2月に事務局次長に就任。当時の事務局職員は「事務局次長にしか開け方の分からない金庫があった」と、その不透明ぶりを証言する。

 「流用は幹部の指示」と話す事務局次長は「裏金は人件費や施設の運営費のほか、幹部が政治家への闇献金やパーティー券購入などに使った」と“暴露”。元幹部も「事務局次長の一存で金の動かし方がすべて決まったとは思えない」と首をかしげる。

 これに対し、名指しされた幹部は「流用の指示すらしていない」と真っ向から否定する。「事務局次長からは『今のところ安定している』といったあいまいな報告しかなく、監査に入るまで実態が分からなかった。怪しげな領収書も大量に見つかっており、意図的な横領だった可能性が高い」と話している。

 「先進施設」次々と問題発覚

 事件の舞台ともいえるハートピアきつれ川(栃木県さくら市)は平成8年に開設された。旧厚生省の提案を受け、財団法人が補助金や寄付金など約20億円をかけて建設。精神障害者がホテルで働きながら社会復帰を目指し、授産施設を併設する「先進施設」だったが、次々と問題が発覚した。

 14年に財団法人が補助金を目的外使用していた不祥事が発覚。厚労省から補助金約5億円の即時返還を求められ、19年4月に10億円の負債を抱えて破産した。その後、全精社協が運営を引き継ぎ、昨年7月に施設を約4200万円で買い取った。

 ところが、今年3月には経営悪化に伴いホテル部門を閉鎖。ホテルの裏側に併設された授産施設だけが今も活動を続けており、この日も数人の入所者が朝から作業を行っていた。

 施設関係者の男性は「何も言わないように止められているが、私たちは何も悪いことはしていない。いつもまじめに働いているのに、このようなことになって困惑している」と話した。

 「裏金、協会のために」 元事務局次長 一問一答

 大阪地検に任意同行された全精社協の元事務局次長は9月中旬、産経新聞の取材に答えた。一問一答は次の通り。

 ―全精社協では裏口座があったのか

 「私が入った際、当時の事務局長から3千万円近い現金が残った預金通帳を見せられた。どういう金なのか尋ねたら、『裏金だ』と言われた。元の帳簿もなく、これではまともにできないと思ってすぐに辞めたが、説得されてまた戻った」

 ―その裏口座から自分名義の個人口座に約1千万円を移したのはなぜか

 「上から指示があったからだ。この行為を着服といわれたら仕方がないので、当局に呼ばれたらきちんと説明するつもり。競馬に少し使ったかもしれないが、それは自分の口座にもともとあった金だったと思っている。裏金はすべて協会のために使ったつもりだ」

 ―裏金を政治献金として使ったのか

 「数回にわたって幹部2人が議員会館に行き、金を渡したと聞いている。政治家は自民党の衆院議員(当時)2人。まだ他にもいるが話せない。私は上の指示で裏口座から金を下ろし渡しただけだ」

 【写真説明】全国精神障害者社会復帰施設協会が運営する「ハートピアきつれ川」=栃木県さくら市(徐暎喜撮影)

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