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【コラム 撃戦記】

プレッシャー克服が勝負の分かれ目

2009年9月25日

“世紀の一戦”というには、まあ、何とも緊張感のない会見だった。テレビのバラエティーをそのまま持ち込んだような雰囲気に、正直うんざりだった。

 日本人同士による世界戦は、67年12月の小林弘(中村)×沼田義明(極東)以来、行われるたびに大きな話題になってきたが、近年で最も注目されたのは、興毅が“世紀の一戦”という薬師寺保栄(松田)×辰吉丈一郎(大阪帝拳)のWBC世界バンタム級タイトルマッチだ。正王者(薬師寺)と暫定王者(辰吉)が闘った、国内で初めての統一戦。互いに目が合うのを避けた会見は、記者席に緊張感がピリピリと伝わってきたものだ。そして、互いの意地がリングで爆発。相手をぐらつかせるパンチの応酬で、会場をわかせる名勝負になった。

 「1ラウンドから挑戦者らしくガンガンいきたい」と、最後は大まじめに締めた興毅。挑戦者の挑発にも終始冷静に振る舞い「試合になるまで言えない」と手の内を隠した王者・内藤。興毅は弟・大毅の“敵討ち”に失敗したら、天下に恥をさらす。それを覚悟のパフォーマンスだとしたら、興毅に期待が持てる。

 会見は拍子抜けするような“お笑いムード”だったが、この試合が名勝負になるかどうかはこれから次第。あと2カ月あまりの間にかかるプレッシャーを、両者がどう克服するかが勝負を分けるだろう。 (格闘技評論家)

 

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