第80回記念選抜高等学校野球大会

 

安房

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青春譜:役目果たし、自信取り戻す--安房・鹿嶋勇太選手(3年)

 「チームのために打ちたい。それが4番の務め」と試合前夜、力強く言った。秋の大会では引っ張ろうとして体が開き、不振に陥った。「気負わなくていいよ」というチームメートの言葉に励まされつつも、情けなさをかみしめていた。 

 八回、相手のファウルボールが三塁横に飛び、追った佐藤祐選手が、カメラ席に頭から突っ込んだ。何かを懸けたようなプレーに、チームの士気が上がった。

 絶対に延長戦にしたくないという気持ちで挑んだ九回2死一塁の場面。相手投手の変化球の切れは、自分たちが経験したことのないレベルだった。「見逃し三振は絶対にしない、それが安房の全力プレーだ」。そう言い聞かせた。外角高めに来た直球を振り抜くと、ボールは右に弧を描いた。三塁コーチがグルグルと手を回すのを見て「ああ、やっと1点入った」と思った。

 以前、取材で「大学でも野球を続けたいか」と問いかけたことがあった。「野球は大好き。でも自分は体が小さい。大学でもやりたいけど、やれるのとは違う」と言って、少し困ったように笑った。

 「自分たちの今やっている野球は、間違っていなかった」。身長170センチの4番が、お立ち台の上で大きく見えた。【斎藤有香】

2008年3月23日

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