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【コラム】駐米日本大使が言及した「三つのノー」(上)

 日米同盟を維持するためには何が最も重要か。朝日新聞の船橋洋一主筆は1990年代半ば、米国務省の高官らに対し、このような質問をした。船橋主筆の著書『同盟漂流』に匿名で登場する、国務省の高官の答えは明りょうなものだった。「どこまでも配慮し、どこまでも再評価し、そしてどこまでも再確認することが必要だ。1回きりのイベントで終わってはならない」。太平洋を挟んだ両国が同盟関係を維持し続けるためには、心がこもった取り組みが必要だ、という点を強調したのだ。

 日本で新たな外交路線を掲げる民主党への政権交代が現実のものとなったことで、日米同盟を維持するため、これまで以上に神経を使うべきだ、という主張が出ている。中でも、外務省の審議官を務めた藤崎一郎駐米大使の最近の発言は注目に値する。藤崎大使は先週、米戦略国際問題研究所(CSIS)が主催したセミナーに一般聴衆として姿を見せ、日米同盟の将来について司会者の質問に答えた。このセミナーには、国務省で対日政策の責任者を務めるカート・キャンベル次官補(東アジア・太平洋担当)が発表者として出席していた。

 藤崎大使は、「現在の政権と新たに発足する政権は、幾つかの課題において差があることは事実だ」と認めた。その上で、「最も重要なことは、民主党が自民党と同じように、日米関係が引き続き、日本外交の礎石になる、と主張していることだ」と述べ、出席者たちを安心させた。また最後に、「個人的な考え」と前置きした上で、「米国と日本のような同盟関係を維持していくために、わたしは常に“三つのノー”が重要だ、と申し上げている。まず第1に、(同盟国を)驚かせるようなことはしてはならない。第2に、重要な懸案を必要以上に政治問題化してはならない。そして第3に、同盟関係を当然のものと思ってはならない」と述べた。日米関係の将来について、楽観的な見方を示しつつも、同盟関係を引き続き進展させていくためには、細心の配慮が必要だという点を強調したのだ。藤崎大使の発言をすぐ後ろの席で聞いた瞬間、記者は「大使が公開の場でこのような発言をするほどまでに、同盟関係の維持のために神経を使っているのか」と思った。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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