--20年までに温室効果ガス排出量を90年比25%削減する目標を打ち出した。根拠となる試算はあるのか。
◆具体的に提示できるものはない。ただ、7月のイタリアでの主要8カ国(G8)首脳会議で、主要先進国は50年までに80%削減することで一致した。国連の専門家も「20年までに先進国が25~40%削減する必要がある」との結論を出しており、こうした国際的な議論の積み上げに基づいて出した数字だ。日本が低い数字を言ったのではまとめていくことにならない。他の国が決めた土俵に上がって義務を負わされるより、積極的に役割を果たした方がプラスが大きい。
--国内削減分は麻生政権の「8%減」を上回るのか。
◆上回るか下回るかは今は分からない。制度設計をする中で決めていきたい。米中などの主要排出国がある程度の義務を負う仕組みにしなければならず、国内対策だけを議論するのは建設的ではない。
--京都議定書で定めのない、13年以降の温室効果ガス削減の新たな約束を決める「国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)」が年末に開かれる。いつまでに制度設計するのか。
◆COP15は、国内の制度設計というより、国際的な協調態勢を議論する場だ。日本がどういうアナウンスをするか、関係閣僚で相談したい。
--鳩山首相が国連会合などで「25%削減」と表明した。
◆主要排出国の参加が前提条件。それが満たされなければ真の国際公約にはならない。日本の意思を示し、交渉を前に動かすための数字だ。
--新政権は「内需主導の経済」を掲げている。これまで日本経済を支えていたのは外需だが。
◆日本経済は輸出に偏り過ぎていたため、リーマン・ショックに伴う海外経済の失速で痛い目にあった。生活をサポートして可処分所得を増やし、内需を拡大してバランスをとる。環境技術やナノテクノロジー、医療・介護などの分野の育成を後押しする。
--「最低賃金1000円」は、中小企業の経営を圧迫するのでは。
◆生産性を上げ賃金支払い能力を確保するのが基本だが、経済情勢を考えるとそれなりの支援をしないといけない。米国のように法律で引き上げるのは今は難しい。
--経営難の大企業に公的資金で資本注入する制度への批判もある。
◆法改正の際、民主党の意見が反映されて注入条件が厳しくなった。条件に従って適正に運用していく。
--日本航空への適用については。
◆国土交通省が再建策を検討している。事前相談は受けていない。
--エコポイント制度、エコカー補助は来年度も継続するのか。
◆厳しい経済情勢の中で効果を上げている。経済の先行きをよく見極め判断したい。【聞き手・柳原美砂子、赤間清広】=つづく
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■人物略歴
1945年生まれ。神戸大経営学部卒。トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。自動車総連副会長などを経て92年の参院選に民社党で初当選。94年の新進党、98年の民主党結成に参加した。民主党政調会長や「次の内閣」官房長官を務めた。3期目。
毎日新聞 2009年9月24日 東京朝刊