【ニューヨーク田端良成】国連安全保障理事会は24日午前(日本時間同日夜)、核軍縮・不拡散をテーマにした初の首脳級特別会合を開き、核兵器廃絶の決意を示した米国提案の「核なき世界」決議案を、非常任理事国の日本を含む15理事国の全会一致で採択する。拘束力がある決議案を採択することで、全世界は地球上からの核兵器一掃に向けて大きな一歩を踏み出す。
鳩山由紀夫首相は会合で、唯一の被爆国の責任として「日本は核兵器開発の潜在能力があるにもかかわらず、核軍拡の連鎖を断ち切る道を選んだ」と、非核三原則堅持を明言。「核保有国であれ非核保有国であれ、核軍縮・不拡散に向けて行動することはすべての国家の責任だ」と述べる。
決議案は核をめぐる現状について「テロリストが核兵器やその原材料を入手する恐れは極めて高く、その対策は世界の緊急課題」と強調。190カ国が締約している核拡散防止条約(NPT)を通じて「核兵器、原材料の管理と拡散を防ぐ監視体制の強化が重要だ」と指摘し、併せて2003年に脱退宣言した北朝鮮、核保有国のインド、パキスタン、イスラエルなどに対してNPTへの参加を要求した。
また、宇宙、水中、地下を含むあらゆる空間での核実験を禁じた包括的核実験禁止条約(CTBT)の重要性も確認。CTBTは核保有国や開発能力があるとされる44カ国のうち米国、中国などが批准していないために発効しておらず、決議案はこれらの国々に対して早期批准を要請した。
米ロの核軍縮交渉を支持し、日本の民主党が打ち出している「北東アジア非核化構想」など、各地域で非核化の動きが進んでいることを歓迎。国際原子力機関(IAEA)と協力し、核エネルギーの平和利用に関する国際会議の開催も明記した。一方、名指しは避けたものの、北朝鮮とイランを念頭に「不拡散体制への重大な挑戦に懸念を示す」と両国をけん制した。
=2009/09/25付 西日本新聞朝刊=