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世界は衆院選に無関心 自民の敗因はアニメCM
2009/8/31
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今回の衆院選を「注目されない総選挙」と呼ぼうではないか。投開票を控えた先週末のアジア株式相場は下落。中国が鉄鋼やセメントなどの産業界における設備過剰の抑制と、株式や社債の発行基準強化に乗り出す可能性があるとの報道が嫌気されたものだ。中国より経済規模の大きい日本の歴史的な政権交代など、投資家はまったく気にかけていない。
すべての市場は中国当局が実施するかもしれないことに強く反応する。しかし、世界2位の経済大国である日本の力学を変える政権交代には無関心だ。このことは、民主党が政権に就いても、世界に対する日本の影響力を回復するのが、いかに大変かを物語っている。そして日本経済はまだ危機のさなかにあるのだ。
投資家の関心が日本から離れ始めたのはしばらく前から明らかだった。その理由は、今回の選挙キャンペーンで自民党などがインターネットでアニメCMを利用したことを見れば分かる。アニメCMは自民党の未熟な政策を想起させるだけでなく、日本の国際的地位低下の理由を物語っている。
アニメCMの愚
投開票を前に、劣勢に立たされていた自民党が新たに発表したアニメCMは、民主党の貿易自由化やテロ対策での給油問題での政策のぶれを批判した。また別のCMでは、民主党の鳩山由紀夫代表に似たラーメン屋の店主を登場させている。
これは実にふざけている。日本ではデフレ傾向が強まっており、公的債務はGDP(国内総生産)のほぼ2倍に膨れ上がった。先進国で最低の出生率で高齢化が急速に進んでいる。こうした状況のなか、自民党はラーメンのアニメではなく、ビジョンを示すべきではなかったか。
与謝野馨財務相が先週、衆院選で民主党が圧勝した場合、一党独裁になりかねないと発言したことも、1955年体制の成立以来ほとんどの時期、自民党が政権党だったことを考えると奇妙な発言といわざるを得ない。【記事一覧】09衆院選 攻防 政権交代
アニメCMの後ろには、麻生太郎首相の影が見え隠れする。麻生首相は漫画好きを有権者へのアピール材料としてきた。首相は国立メディア芸術総合センターの建設が景気浮揚に寄与すると支持。政府は、アニメの少女キャラクターを世界に発信することが日本への関心を高めると考えた。
日本の話は人気なし
ところが日本は、アジアばかりか世界的に影響力を大きく失ってきた。私はロンドンやニューヨーク、シンガポールを訪れるたびに、彼らの日本への関心が低いことに驚かされる。聴衆は中国やインドネシア、韓国の話には耳を傾ける。ところが日本の話になると、携帯端末のブラックベリーを取り出すのだ。まるで示し合わせたかのように雑談が始まったり、トイレに席を立ったりする。そして話題がインドやタイに変わると、再び身を入れて聴き始める。
最近の経済リポートは「日本を除くアジア」に焦点を絞っている。人々は、すでに中国やインドの経済が日本をしのぐ時代を見越しているのだ。
投資家は1990年代初頭から何度も日本の回復を期待し投資してきたが、結局は失望に終わった。2001〜06年の小泉政権を除けば自民党リーダーは変革が進んでいると海外投資家に納得させることができなかった。そして小泉純一郎首相の改革も期待外れに終わり、不安定なリーダーシップを招くこととなった。
民主党が自民党よりもよいかどうかは誰も分からない。しかし、景気が落ち込むなか、アニメCMにうつつを抜かす党よりはずっとましかもしれない。
(ブルームバーグ William Pesek)
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