20日午前3時ごろ、静岡県牧之原市東萩間の東名高速道路上り線で、走行中の2階建て高速バス(70人乗り)の後方から煙が出ているのを、運転手の山崎秀夫さん(53)が気づいた。登坂車線に停車して消火作業をしたが、後ろの約半分が燃えた。乗客57人と運転手2人は避難して無事だった。バスはドイツのネオプラン社製で、同社製バスは昨年5月と今年3月にも走行中に出火する事故が起きている。県警などが詳しい出火原因を調べている。国土交通省も事故現場に職員を派遣し、調査を開始した。
バスを所有・運行する「ローレル観光バス」(大阪市浪速区)によると、バスは19日午後10時50分に大阪市北区を出発、20日午前7時半に東京ディズニーランドに到着予定だった。火災後、乗客は別のバスに乗り換えた。出火したバスは03年2月に購入し、8月の定期点検と出発前の点検で異常はなかったという。
ネオプラン社製バスを巡っては、08年5月に西日本ジェイアールバスの高速バスが大津市の名神高速道路を走行中に出火・全焼したほか、今年3月にもジェイアールバス関東の高速バスが静岡県牧之原市の東名高速道路を走行中に出火する事故があった。
いずれもエンジン付近から出火しており、国交省は3月の事故後、バスを所有していた両社に同型バスの運行中止を指示。製造上の問題もあるとみて、輸入元「日本ネオプラン」(大阪府八尾市)を通じてネオプラン社に調査を要請した。ローレル観光によると、20日に出火したバスの全長は約12メートルで、過去に事故を起こした型より約3メートル短いという。
静岡県警高速隊によると、この事故で東名高速上り線を一時車線規制し、現場を先頭に最大約12キロ渋滞した。【平林由梨】
「ローレル観光バス」と、ネオプラン社製バスの輸入元「日本ネオプラン」はグループ会社で、ともに大阪府八尾市に事業所がある。
日本ネオプランの青木義則部長によると、ネオプラン社製のバスは約30年前から輸入しており、現在国内で150台前後が運行されている。このうちローレル観光バスでは39台を保有する。日本の排ガス規制が厳しくなったため、現在は輸入していないという。
毎日新聞 2009年9月21日 東京朝刊