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選挙:衆院選 民主、13年の宿願 小沢戦略が奏功 予想外の圧勝、重圧も

 民主党は96年の旧民主党結党以来13年間の宿願だった政権交代を果たした。自民党長期政権の下で圧倒的な力を示した「政・官・業」のトライアングルが揺らぐ中で、医師会、農業団体、建設業界などの自民党の支持基盤を着実に切り崩し、圧勝につなげた。「低支持率の麻生内閣を相手に戦う」との戦略も的中し、野党第1党が選挙で単独過半数を獲得することにより政権を奪取する戦後初のケースをものにした。

 「憲政史上初の政権選択選挙で、政権交代を選んでいただき、感謝したい。国民の皆さんの『暮らしが厳しい。何をやってるんだ』との怒りが民主党への期待に結び付いた」

 東京・六本木の民主党の開票センター。鳩山由紀夫代表は勝因を分析した。

 自民党の支持基盤切り崩しに照準を定める、小沢一郎代表代行の代表時代からの戦略が奏功した。民営化が進められた郵政関係にとどまらず、小泉政権以降の社会保障費削減や後期高齢者医療制度への反発に端を発する「医師の乱」にも乗じて揺さぶりを強めた。農村部の現場に繰り返し入り、時にはJAを訪問するなど、地殻変動を決定的にした。また、新人、元職の候補者を中心に有権者と接することを徹底させ、保守層への浸透を確実にした。

 社民、国民新両党との選挙協力を徹底させた効果も大きい。相打ちをできる限り減らしたことに加え、連合も含めた協力態勢を構築した。政権交代の現実味をアピールすることに成功した。

 国会戦略では、支持率20%未満の首相を相手にした衆院選に持ち込むため、「麻生温存」に腐心した。内閣不信任案の提出時期を都議選直後にすることで、自民党内の反麻生勢力に麻生内閣を「信任」させることに成功。選挙戦では、幹部が遊説で「この選挙区で自民党候補が勝ったら麻生政権が続くんですよ」と口々に訴えた。中堅議員は「国民の意識の中で『麻生太郎首相をおろす会』が結成され、会長に鳩山代表がなったようなものだ」と解説する。

 ただ、予想以上の圧勝は民主党に重圧となり、早くも次の衆院選を心配する声も上がる。鳩山氏は31日未明の記者会見で「単なる民主党の勝利ではない」と強調。「謙虚に、いかにして国民の方を向いた政治を作り上げていくかがすべてだ」と慎重に語った。

 民主党は、チャンスがすぐにピンチに変わることの繰り返しで「ホップ、ステップ、肉離れ」とやゆされてきた。04年に菅直人代表(当時)が閣僚の年金未納問題を批判した途端、自身の年金未加入が発覚したり、06年に前原誠司代表(同)の下で、武部勤自民党幹事長(同)を巡る送金指示メール疑惑を追及すると、メールが虚偽だったことが判明した。今年3月に小沢代表(同)の秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕されたのも同様で、鳩山氏は個人献金の虚偽記載問題を抱えている。

 若手の一人は「ジャンプは果たしたが、『着地点がふたの開いたマンホールだった』とならないようにしないといけない」と気を引き締めた。【田中成之】

 ◇戦後初「過半数制し政権交代」

 野党第1党が選挙で単独過半数を制して政権につく、最もオーソドックスな形の政権交代が実現するのは戦後初めてとなる。

 政権交代は戦後、古くは1947年4月の第23回衆院選までさかのぼる。旧憲法下最後の総選挙で、中選挙区制で実施され、定数466。野党だった社会党が143議席を得て第1党になり、同党の片山哲委員長を首相とする連立内閣が成立した。ただ、単独過半数(234議席)にはほど遠く、第2党になった自由党は連立により政権を維持することは可能で、今回とはパターンが異なる。

 55年体制以降、初の非自民政権(細川内閣)を生んだ93年7月の第40回衆院選も中選挙区制で施行された。自民党は過半数(256議席)には届かなかったが223議席を獲得して第1党の座を確保し、第2党の社会党(70議席)に大差を付けた。首相となった細川護熙氏が率いる日本新党は35議席。選挙後の連立協議が実を結んだ政権交代で、選挙結果をストレートに受けた政権奪取ではない。【須藤孝】

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 ■民主党の歩み

1996年 9月 旧民主党結成

  97年12月 小沢一郎党首率いる新進党が解党

  98年 4月 旧民主など4党が合併し現在の民主党誕生。菅直人代表が就任

  99年 9月 鳩山由紀夫代表が就任

2002年12月 幹事長人事の失敗などで鳩山代表が辞任。菅代表が返り咲き

  03年 9月 自由党と合併

  04年 5月 年金未加入問題で菅代表が辞任。岡田克也代表が就任

  05年 9月 衆院選で大敗。岡田代表が辞任し前原誠司代表が就任

  06年 4月 偽メール問題で前原代表が辞任し小沢代表が就任

  07年11月 小沢代表と福田康夫首相が「大連立」で合意。党役員会で撤回

  09年 3月 政治資金規正法違反事件で小沢代表の秘書逮捕

      5月 小沢代表が辞任し鳩山代表が就任

      8月 衆院選で大勝、政権奪取確実に

毎日新聞 2009年8月31日 東京朝刊

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