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新青森開業後の奥羽線 E5系接続は通勤電車?
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JR東日本は、東北新幹線・新青森駅開業に向けて開発した最新車両「E5系」を公開したが、観光関係者が「奥羽線の接続列車はどうなる?」と注視している。現在は、八戸駅で「はやて」から特急「つがる」が接続するが、JRは新青森駅開業後、弘前との間を短距離の通勤型電車で結ぶ公算が大きい。背景には、秋田県内で新青森駅開業への関心が低く、「弘前以遠」の需要が見込めないという事情もちらつく。
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「弘前の皆さんはJRに『奥羽線には絶対いい車両を入れてくれ』と言い続けなければ。今、走っている『つがる』は、新青森駅開業後には廃止になる。ロングシートの通勤型電車で弘前観光に来てもらうつもりですか。皆さん、のんびりしすぎていますよ」
5月、弘前市内で開かれた観光関係者の会合で、本県観光の支援に携わる清水愼一ジェーティービー常務取締役は語気を強めた。
現在は、「白鳥」「スーパー白鳥」「つがる」の3接続特急が八戸と青森・弘前・函館を結んでいる。いずれもグリーン車をはじめ車内設備が充実、車内販売も同乗し、観光・ビジネス客の利便を確保している。
新青森駅開業後、JRは北海道方面への接続を最重視するとみられ、「スーパー白鳥」「白鳥」は、北海道新幹線開業まで、接続特急としての役目を果たすことになりそうだ。
一方、奥羽線の青森−弘前間は37キロしかなく、特急を走らせるには短すぎる。
弘前市や弘前商工会議所は、大館までの新幹線接続列車運行も視野に、県を通じてJRに在来線ダイヤ充実を要望してきた。しかし、JR秋田支社の吉田幸一支社長(当時)は5月、本紙インタビューに対し「大館はまだ熱くなっていない」と、新青森駅開業への関心が高まっていないことを理由に、接続列車の大館延伸には消極的な姿勢を見せた。
さらに、「特急は遠いところへ行く列車だが、新青森から弘前は本数が増えて、通勤タイプの電車で行ける、近くて便利な感覚になる。その分だけ、車両を選ぶ暇もない」と語り、ロングシートの列車運行が基本になることを示唆した。
秋田側の関心度が、奥羽線の接続列車の行方に大きな影響を及ぼしそうだが、秋田側はどう対処するのか。
大館市は「何らかの動きを−という声が市議会で高まっている。7月上旬にも、各種組織を集めて協議会を設立したい」(商工観光課・工藤剛観光物産係長)と、ようやく重い腰を上げつつある。
秋田県も、6月定例県議会に提出した一般会計補正予算案に、観光ルート開拓を目指す検討委員会の設置費用998万円を盛った。「新青森駅時代」に置き去りにされかねない事態に、高橋美紀(よしのり)観光課長は「関係者は危機感を強めているが、まだ県内まで広まっていない。今後、青森県側と連携を深め、対処していきたい」と力を込める。
奥羽線の列車事情が象徴するように、本県の鉄道の利便を高め、観光客の満足度を高めるためにも、隣県・秋田との協力態勢づくりが不可欠だ。新青森駅開業まで1年半、早急かつ積極的な対応が待たれる。
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