米医療産業が日本の医療政策に影響―日医総研
日本医師会総合政策研究機構はこのほど、米国医療関連産業の政治的活動の影響が「対日通商外交上の圧力となって、日本の医療政策に影響を及ぼしている」などとするワーキングペーパーを公表した。
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それによると、昨年の米国政界へのロビイング活動の経費を業界別に見た場合、「医薬品、医療材料、医療機器業界」が2億3000万ドルで最も高かった。また、1998−2008年の累計でも15億5700万ドルに上り、2位の「保険業界」の11億7400万ドルを大きく上回った。
ワーキングペーパーでは、これらの事実から「米国の医療関連産業は、米国政府に対して巨大な政治的圧力を持っていると考えられる」と指摘。
また、円高ドル安が急速に進み、外国企業の日本市場に対する門戸開放圧力が強まった1980年代半ば以降、医薬品・医療機器分野は「日米の経済対話の主要な枠組みのすべてにおいて、重要な位置を占めてきた」とも指摘している。
さらに、近年の動向として、日米両国で互いの経済政策について話し合う「成長のための日米経済パートナーシップ」の下、2001年6月に当時の小泉純一郎首相とブッシュ大統領が設けた「規制改革及び競争政策イニシアティブ」について言及。
この中で、米国から寄せられた「政府が決めている医薬品・医療材料等の保険償還価格を、それらの革新性等に応じて評価し設定する」「諸規則の緩和や審査体制の強化をして、医薬品・医療機器の承認審査を迅速化する」の2点の要望についてワーキングペーパーでは、革新的あるいは有用な製品の保険償還価格に対する補正加算の制度化や加算率の引き上げ、新たな承認審査機関の整備、承認審査スタッフの増員など「着実な進展が観察できる」として、「この2点における対日要望の実現は、米国の医療関連産業の利益とも合致する」と指摘した。
その上で、ワーキングペーパーでは「米国医療関連産業の政治的活動は、米国の政府を動かしうるほど、巨大」として、この影響力が「対日通商外交上の圧力となって、わが国の医療政策に影響を及ぼしている」と結論付け、「医療が重要な政策課題となっている今、この事実と仕組みをよく知っておく必要がありはしまいか」と主張している。
更新:2009/09/24 17:12 キャリアブレイン
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