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馬事イベント&伝統馬事芸能 披露

愛馬の日 in 東京馬事公苑 つづき

  お待たせしました。愛馬の日の後半の催しです。(^^ヾ  愛馬の日パート1(前半)はコチラ

 ▼母衣引 (ほろひき)

   母衣引は騎手が長さ約10mもある円形の母衣(ほろ)をたたんで背負い、馬の足並みを徐々に早めながら母衣を後方に伸ばし広げていく馬術です。
   この古式馬術は現在、宮内庁の主馬班が伝承しているそうです。

2頭の馬がグラスアリーナに入ってきます。

馬上の人は大きな口の開いた「のぼり」のようなもの、
2色の母衣を持っています。

母衣の尾の部分は体の前に抱えています。
2頭は馬場の両端に分かれ周回を始めました。

まだ走る速度はゆっくりで母衣も抱えたままです。
母衣の色は白と緑、紅と白の二つ。

白と緑は春を、紅と白は秋を象徴しています
母衣引の馬は側対歩という変則的な歩き方をします。
これは前脚と後脚を左右同じ側を揃える歩き方
馬の反動をおさえることができるそうです。

見慣れない歩き方は違和感ありますね。(^^;


速度は徐々に上がっていき、母衣も伸びていきます。
風を受けた母衣は風船のように膨らんでいます。
騎手にかかる重さも相当なものでしょう。
掛け声と共に母衣が手放され、後ろに長く伸びました。
馬の足並みも早まり速度が最高に達します。

速度が変わっても2頭の位置がズレることはなく
馬場の両端を流れるように走ります。

まるで大きな蛇か龍が馬場を周っているみたいです。
馬場の中央で2頭が交差。周り方が逆回転に変わります。
逆周りになっても側対歩は崩れません。



母衣を引いて周る馬術。
流鏑馬や相馬野馬追のような派手さはないけども
不思議と心惹かれるものがありました。


滅多に目にすることはないけど、これも一つの伝統。
歴史に根付く馬事文化なのですね。

 ▼飾り馬

   九州・熊本からの伝統馬事「飾り馬」は、藤崎宮の例大祭の中で行われる奉納行列に出てくる馬のことらしいです。
   昔は神職が騎乗していたそうですが、現在は太輪(ふとわ)/通称・陽陰(ひのかげ)と言われる飾りを奉納馬に施し、その飾り馬を先頭に
   口取り・楽団・勢子の順に馬を囃したてながら行列を成すお祭りだそうです。

飾り馬はばんえい馬のような大きな馬。
背には紅白の飾りが施されています。

馬の後ろからお囃し集団が賑やかな音や掛け声を上げて
飾り馬についていきます。

ラッパや太鼓の音がけたたましく鳴り響き
「サァ!サァ!サァ!」、「ハイッ!ハイッ!ハイッ!」と
威勢の良い掛け声が祭の高揚感を高めます。

お囃しに煽られて馬はやや興奮気味。
抑える人も大変そうです。
他の馬術と異なって騒がしい伝統馬事。

正直、ちょっと馴染めませんね。(^^;
馬は大きな音をイヤがるものですが、
この祭ではラッパや太鼓など大きな音で馬を煽る。
馬の扱いとしてはちょっと違うように感じました。

でもこれも一種の伝統なのでしょう。
否定はしませんが興味は沸きませんね。

 ▼神旗争奪戦

   相馬野馬追のもう一つの行事・神旗争奪戦。打ち上げられて舞い降りてくる御神旗を甲冑姿のサムライ達が馬上で取り合う勇壮果敢な行事です。
   本場・雲雀ヶ原の神旗争奪戦では百騎近い騎馬武者が勇敢に馬群に突っ込み、馬を操りながら舞い降りる御神旗を取り合います。
   その光景は他のどんな伝統馬事よりも壮大で、まさしく戦国時代さながらの合戦を見た気分になれるでしょう。
   相馬野馬追・本祭での神旗争奪戦の模様は2日目のレポート、または3日目のレポートでご覧ください。

相馬の騎馬武者が再び集結。
今度はグラスアリーナにおいて神旗争奪戦を行います。

集まった馬達は先ほどの甲冑競馬と同じ。
頭数は数えていませんでしたが約10数騎でしょうか。
本祭より全然少ないですが雰囲気は伝えられるでしょう
入場時は兜をかぶっていますが争奪戦では兜を取ります。

馬は大きな旗にも驚くものですが相馬の馬は大丈夫。
慣らされているのか他の馬よりかは落ち着いています。

それでも旗を付ける時などは暴れるようですが。(^^;
相馬では御神旗は花火で打ち上げられますが
東京では条例のため花火が使用できません。

そのために考え出された方法が風船です。

御神旗は大きな風船に入れられて空に上げられます。
風船は紐で地上とつなげられていて、その紐を辿って
針のついた小さな風船が上っていき大きい風船を割る。

なんとも上手く考えたものですね。

しかしこの日は風が強く、風船も大きく煽られていました。
風の止んだ瞬間を見計らって風船が割られると
風船に入れられた2枚の御神旗が舞い降りてきます。

10数の騎馬武者が旗を目指して走り出す。

旗指物をなびかせて馬達が落下地点に集結。
暴れる馬を巧みな手綱さばきで操り
かつ上空からの旗を見据えて手を伸ばします。
争奪戦。まさしく奪いあう争いです。

その迫力に観客から感嘆の声が上がります。
初めて見る人も、何度も見た人も
この光景には賞賛をすることでしょう。

見事に御神旗を取ったサムライは大喜びで馬を走らせ
賞典台で執行委員より賞品を受け取ります。

観客からも賞賛の拍手が湧き起こりました。
3回目、最後の御神旗の打ち上げです
ちなみに本祭では20回は行われます。

日差しは出てるものの空には大きな雲が。
その雲がゆっくりと動いています。
上空は風が強いのでしょう。
風船も風を受けて上下左右に動きます。
風船が落ち着いた瞬間、針付風船が旗入風船を破裂。

しかし御神旗は風に流され場外へいってしまいました。

残念そうに旗を見つめるサムライたち。
同じくラストを見れなかった観客も残念そうです。
しまらない終り方でしたがそれも仕方ありません。
もっと見たい人はぜひ来年、南相馬で行われる相馬野馬追・本祭にお越しください、ということでしょう。(^^ヾ

最後に素晴らしい伝統馬事を見せてくれた騎馬武者たちがグラスアリーナを一周。観客の声援を浴びて締めくくりました。

 ▼アンダルシアンの演技

   愛馬の日の締めくくりはアンダルシアンによる演技披露です。アンダルシアンとは馬の品種名で主にスペインで飼育されているそうです。
   スペインの伝統的な乗馬として、またヨーロッパの王室用馬の基礎としても用いられている高貴な品種だとか。
   一方で、強い脚と柔軟な関節、天性のバランスと人に従順な性格から高度な演技もこなせる優秀な馬でもあるようです。
   見た目にも美しく、フィナーレとしては最高の華麗な演技が期待できるでしょう。

グラスアリーナにラテン系の音楽が流れ始めます。

キレイな黒鹿毛と芦毛の馬が4頭登場してきました。
鞍上も高貴さ漂う、美麗な衣装です。

母衣引、神旗争奪戦など 「和」 の馬術が続きましたが
雰囲気は一転、ラストはヨーロッパ的な馬術です。
音楽に合わせるかのようなステップ。

スペイン常足、パッサージュなどの珍しい歩行、
側対歩のように前後の脚を揃えた歩き方や
前脚を交差しながらの歩いたりと多様な歩行技術の披露。
4頭並んでのステップや駆け足で4頭が交差したりと
様々な演技を披露してくれます。
続いて騎手が馬から降りての演技。

前脚を前方に出してお辞儀するポーズや
横座りをするポーズなどを披露。

なんとも可愛らしい姿ですね。(^^ヾ
再び馬に跨っての演技。

後ろ脚だけで立ち上がるクールベットという演技。
大きな馬体が同時に立ち上がる様は壮観でした。

最後に4頭並んでグラスアリーナを一周。
大きな拍手で見送られアンダルシアンの演技終了です。

 

 ▼ あとがき

 様々な地方、様々な品種による馬たちの演技に大満足。「愛馬の日」のことは先日、偶然知ることができ初めて見に行ったわけですが、本当に行って良かったです。
 日本各地……いや世界各国で受け継がれている馬事文化。馬と人との歴史に感動すると共に、その歴史の深さを改めて知ることができたと思います。
 それにしても本当にいろいろな伝統馬事があるんですね。母衣引、アンダルシアンの演技などは特に気に入りました。(^^ヾ
 機会があれば一つ一つをジックリ見てみたいです。とりあえずこのイベントは要チェックですね。来年も来れるようなら来たいと思います。 

愛馬の日 見学レポート 終