政策変更を国交相が陳謝 八ツ場ダム、中止撤回せず前原誠司国土交通相は23日、群馬県長野原町の八ツ場ダム予定地を視察、地元知事らとの意見交換会で、建設中止を表明したことに「政策変更で住民にご苦労、大きな心労、迷惑をかけていることを担当大臣としておわび申し上げる」と陳謝した。ただ中止方針は「白紙に戻すことは考えていない」として、撤回しない考えを強調した。 また記者会見で前原氏は、現在進む住民の移転先などの整備は継続するとした上で、「ダムに頼らない地域再生については、新しい法律を作った上で財政措置を講じていく」と発言。ダム中止後は必要に応じ、新法で住民の生活再建事業費を増額する考えを表明した。 ダム完成を前提に、東京や群馬など1都4県に対し水道用水などのため暫定的に認めている利根川からの取水は「中止したとしても今まで通り確保したい」と述べた。 視察では住民との意見交換会も予定されていたが、「中止が前提ではテーブルに着けない」として住民側が参加を拒否した。これに対し前原氏は会見で「できる限りさまざまな形でアプローチし、住民と対話できるようにしたい」と述べた。 知事らとの意見交換会には、大沢正明群馬県知事や高山欣也長野原町長、茂木伸一東吾妻町長らが参加。高山町長は「マニフェスト(政権公約)にあるからやめるというが、公約に掲げることを了承したわけではない」、茂木町長は「住民が先祖伝来の田畑や家屋を手放したのは『流域の治水、利水のため』という大義があったからだ。住民の気持ちをこのままにできない」とし、建設継続を訴えた。 大沢知事は、中止方針を白紙に戻し地元や関係者との協議の場をつくることを提案した。 【共同通信】
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