2009年9月22日20時55分
90年に起きた足利事件の11年前に同じ栃木県足利市で起きた女児殺害事件で、同県警は22日、遺体遺棄現場にあった遺留品のDNA型鑑定を実施することを明らかにした。被害女児の父が7月、DNA型鑑定を求める嘆願書を県警に提出していた。すでに時効を迎えた事件で捜査当局がDNA型鑑定を行うのは極めて異例だ。
刑事総務課などによると、遺留品は布製リュックサックやビニールひもなど。すでに保管していた宇都宮地検から県警に移され、21日から鑑定方法などの具体的な検討に入った。県警科学捜査研究所が鑑定する方針で、結果は「可能な範囲で遺族に報告する」という。
事件は79年8月、保育園に通う女児(当時5)が自宅から遊びに出たまま行方不明になり、6日後にリュックに詰められた状態で遺体で見つかった。遺棄現場は足利事件と同じ渡良瀬川河川敷で、発見場所は約200メートルしか離れていない。足利事件で逮捕された菅家利和さん(62)=再審開始決定=が犯行を自供したとされ、91年12月に再逮捕されたが、証拠不十分で不起訴となった。当時の殺人事件の公訴時効は15年だったので、時効はすでに成立している。
菅家さんは今年5月、再審開始をめぐるDNA型の再鑑定で、真犯人とみられる型との不一致がわかった。これを受けて、79年の事件で長女を殺害された足利市の福島譲さん(55)が県警本部長にDNA型鑑定を求めた。遺留品から判明したDNA型との照合によって、足利事件の真犯人のDNA型と一致する可能性などが期待できるからだ。
鑑定実施について、福島さんは「被害者にとって時効は関係ない。真犯人につながる何かがわかれば、と思う」と話している。(吉永岳央)