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政権交代@とちぎ

地域医療再生 霧の中

2009年09月18日

補正予算の行方も影 

 県が進める「地域医療再生計画」=キーワード=の先行きが不透明になってきた。県は国からの交付金を受け、100億円の計画として、JA栃木厚生連が運営する下都賀総合病院(栃木市)の移転新築を検討している。ところが、小山市が経営難の小山市民病院を下都賀総合病院と統合できないかと急きょ提案。一方、政権についた民主党は原資となる補正予算の一部凍結を打ち出しており、事業の縮小や中止の可能性もある。計画提出期限とされる来月16日まであと1カ月足らず、どう構想を描くのか。(古源盛一)

小山市が統合要望へ

 小山市議会の特別委員会は17日、両病院の再編による新築整備を求める要望書案を採択した。18日に大久保寿夫市長と市議長や特別委のメンバーらが県庁を訪ね、福田富一知事に「小山市案」として要望書を手渡す。

 市案や特別委の議論によると、小山市民病院(約340床)と下都賀総合病院(約470床)を統合した新病院(820床)とし、両病院になかったリハビリ病床、感染症病床なども整備する内容。総事業費は約259億円で、建設予定地は「栃木市と小山市の中間としたい」とする。

 同市が統合案を打ち出した背景は長年の病院事業特別会計の赤字にある。08年度は約1億5千万円の赤字見通しだっため、今年3月に一般会計から約3億2千万円を繰り入れた。それでも累積赤字は約8億8千万円に上る。

 老朽化した施設が不振の原因として市の運営委員会は一昨年には単独の移転新築を提言。市でも思川の西側を候補地に計画を練る中で、今回の交付金話を聞き、「またとない機会」(市幹部)と、飛びついた。

市の動きに県は困惑

 栃木市にある下都賀総合病院は今年で築40年。十数年前から移転話が出ているが栃木厚生連の資金不足で進まず、常勤医師の不足で診療科が度々休止。栃木市議会は17日、同病院に運転資金5億円を貸し付ける議案を可決した。

 県は、ここが再生できないと患者が独協医大病院、自治医大付属病院では受け入れ切れず、県全体の医療崩壊を招くという危機感がある。

 県は7月に開いた医療対策協議会で、100億円分を申請する計画を下都賀総合病院のある県南と、25億円分の計画をJAかみつが厚生連が運営する上都賀総合病院(鹿沼市)のある県西の各2次医療圏に選定している。

 小山市の動きに対し、県医事厚生課は「民間と自治体の病院との統合となれば経営主体の問題もある。県が勝手に統合へ音頭をとるのはどうか」と困惑顔だ。

 各都道府県が10カ所の選定を目指す中、確実に選ばれるには計画がより具体的かが問われるとし、「これから関係者が協議するというのなら、あまり時間はない」。

 さらに、政権交代で補正予算の執行が不透明になったため、県は今月16日に予定していた医療対策会議を10月初旬に延期。この日に下都賀総合病院の詳細な計画を協議する予定だったが、新しい厚労相の考えを当面見守るとした。

 同病院の移転を巡っては総選挙中、自民候補の選挙公約としても取りざたされた。栃木市を選挙区にかかえる茂木敏充氏は同病院の移転新築に「国の交付金獲得に全力に挙げる」と発言。一方、小山市と、栃木市との合併を控える大平町などを選挙区に持つ佐藤勉氏は「移転を進めると同時に小山市民病院も考えないといけない」。これに対し、民主の山岡賢次、富岡芳忠の両氏は目立った発言はしていない。

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