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【経済】

日本の『失われた10年』 IMF分析  量的緩和では抜本解決せず

2009年9月22日 朝刊

 【ワシントン=共同】国際通貨基金(IMF)は二十一日公表した世界金融安定報告の分析編で、日銀の量的金融緩和政策は金融機関に対する信用不安解消には寄与せず、根本的な解決策にならなかったとした上で、銀行の貸し出しを増やし成長を回復するには、不良資産の抜本処理が不可欠と提言した。

 報告は政策の有効性を調べる上で「日本の『失われた十年』の経験が唯一の先例として役立つかもしれない」と指摘。各国政府や中央銀行が金融危機への対応縮小を検討する一助として、日本の取り組みを分析した。

 日銀が量的金融緩和政策の下、資金を大量供給したことについては「金融市場の緊張を和らげる効果があった」と評価する一方、「危機の根本原因解決には役立たなかった」と明記した。その上で、銀行に公的資金が投入されたこともあって経営の緊張感が薄れ、不良債権の抜本処理を遅らせる原因になったと強調した。

 その上で、日本は二〇〇二年に不良債権処理を進める「金融再生プログラム」を打ち出して初めて危機から脱却したと説明。政府による預金の全額保護措置も「それだけでは金融逼迫(ひっぱく)の悪循環を断ち切るのに十分ではなかった」と分析した。

 政府と中央銀行が異例の政策を平時に戻す「出口戦略」については、金融機関と市場への信頼回復が確実になってから進めるべきだとし、慎重な取り組みを求めた。

 

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