「ダムを白紙に戻すのなら、失われた40年を返せ」‐。民主党の大型公共事業の見直し方針に揺れる城原川ダム水没予定地の神埼市脊振町で、22日開かれた地元住民と民主党国会議員の初の意見交換会では、約40年間、国に翻弄(ほんろう)されてきた住民たちの不満が噴出した。
集会所には、水没予定地の住民約60人が詰め掛けた。大串博志衆院議員ら民主党県連の幹部3人が「ダムによらない治水を考えていきたい」と説明すると、住民からは次々と非難の声が上がった。
「政権が変わって何日で、どうしてこの40年間がひっくり返せるのか」「命を守るために協力せないかんと思ってやってきたのに。金と命のどっちが大事なのか」
賛成、反対で地域が分断された苦しい経験を重ねてきただけに、「やっと建設に前向きになったのに」と恨み節も。ある女性(66)は「中止ならはっきり言ってほしい。『いずれダムができるなら、無駄な金ば少しでも減らそう』と、私たちは(インフラ整備などの)要望も遠慮してきたのに」と憤慨した。
ある男性は思いをしたためた紙を読み上げ、「一口に40年といっても、実に22人もの総理大臣が存在していた期間。私たちにも生活設計をする権利がある」と訴えた。
最後に、城原川ダム対策委員会の真島修会長が「中止かどうか結論が出ないようでは前に進めない。再度、対話の場を設けてほしい」と要望。終了後、大串議員は「ダムによらない治水を具体化させる中で、前政権下で40年間苦しい人生を負われた皆さんへの対応を考えていく」と述べた。
=2009/09/23付 西日本新聞朝刊=