2009年9月23日0時38分
【途上国への支援】
次に、気候変動の問題は地球規模の対応が必須であることから、途上国も持続可能な発展と貧困の撲滅を目指す過程で「共通だが差異ある責任」の下、温室効果ガスの削減に努める必要があります。とりわけ温室効果ガスを多く排出している主要な途上諸国においては、その必要が大きいと思います。
また、気候変動問題の解決のために、とりわけ脆弱(ぜいじゃく)な途上国や島嶼(とうしょ)国の適応対策のために、大変大きな額の資金が必要とされており、それを戦略的に増やしていかなければなりません。我が国は、国際交渉の進展状況を注視しながら、これまでと同等以上の資金的、技術的な支援を行う用意があります。
公的資金による途上国への資金や技術の移転は重要不可欠です。ただし、それだけでは途上国の資金需要を満たすことはできません。効果的に公的資金が使われる仕組みづくりと同時に、公的資金が民間投資の呼び水となる仕組みづくりについての検討を各国首脳と進めていきたいと考えています。
途上国への支援について、以下のような原則が必要であると考えています。
第一に、我が国を含む先進国が相当の新規で追加的な官民の資金で貢献することが必要です。
第二に、途上国の排出削減について、とりわけ支援資金により実現される分について測定可能、報告可能、検証可能な形での国際的な認識を得るためのルールづくりが求められます。
第三に、途上国への資金支援については、予測可能な形の革新的なメカニズムの検討が必要です。そして、資金の使途の透明性および実効性を確保しつつ、国連の気候変動に関する枠組みの監督下で、世界中にあるバイ(二国間)やマルチ(多国間)の資金についてのワンストップ(一元的)の情報提供やマッチングを促進する国際システムを設けるべきです。
第四に、低炭素な技術の移転を促進するための方途について、知的所有権の保護と両立する枠組みをつくることを提唱します。
私は、以上を「鳩山イニシアチブ」として国際社会に問うていきたいと考えております。京都議定書は、温室効果ガスの削減義務を課した最初の国際的な枠組みとして歴史的なマイルストーン(一里塚)でした。しかし、これに続く新たな枠組みが構築されなければ、効果的な取り組みとなりません。そのための公平かつ実効性のある新たな一つの約束作成に向け、今後このイニシアチブを具体化する中で、コペンハーゲンの成功のために尽力したいと考えています。