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平成10年3月27日

一般廃棄物の溶融固化物の再生利用の実施の促進について

1.趣旨

○ 溶融固化とは焼却灰等の廃棄物を加熱し、概ね1200℃以上の高温条件下で有機物を燃焼させるとともに、無機物を溶融した後に冷却してガラス質の固化物(以下「溶融固化物」という。「溶融スラグ」とも呼ばれる。)とする技術であり、重金属の溶出防止及びダイオキシン類の分解・削減に極めて有効である。

○ 溶融固化物については、その品質が確保されれば、路盤材やコンクリート用骨材等に利用することが可能であり、その利用を適切に進めることは、最終処分場の延命化に効果的である。

○ このため、生活環境の保全の観点から、溶融固化物の利用についても十分留意しつつ、一般廃棄物の溶融固化の実施に当たり遵守することが望ましい事項を定め、これに基づく溶融固化物の適正な再生利用の実施に資することを目的として、「一般廃棄物の溶融固化物の再生利用に関する指針」を定め、地方公共団体に通知したものである。

2.溶融固化物の用途

3.に述べる目標基準を達成した溶融固化物の利用用途としては、以下のようなものが考えられる。

  1. 路盤材(路床材、下層路盤材、上層路盤材等)
  2. コンクリート用骨材、アスファルト混合物用骨材
  3. 埋め戻し材
  4. コンクリート二次製品用材料(歩道用ブロック、空洞ブロック、透水性ブロック等)

3.一般廃棄物の溶融固化物の再生利用に関する指針の概要

(1)溶融固化物に係る目標基準

土壌の汚染に係る環境基準を参考として、溶融固化物に係る目標基準を次のように設定した。

 項目  溶出基準 
カドミウム0.01mg/l以下
0.01mg/l以下
六価クロム0.05mg/l以下
砒素0.01mg/l以下
総水銀0.0005mg/l以下
セレン0.01mg/l以下

(2)再生に関し、遵守すべき留意事項

焼却灰の溶融による再生を生活環境保全上支障を生ずることなく実施するため、留意すべき事項をとりまとめた。

  1. 溶融に伴い生ずる排ガス、ばいじんの適正処理
  2. 溶融固化物の冷却水の適正処理
  3. 再生された溶融固化物の定期的な試験
  4. 溶融固化物の安定的な利用先の確保。


溶融固化物とは

○ 溶融固化物は、「溶融スラグ」とも呼ばれる。1200度以上の高温条件において焼却灰が加熱・溶融され、冷却固化したもので、有機物は熱分解、ガス化、燃焼し、無機物はスラグ化する。

*1「溶融」とは、固体が、加熱され液状になること。
*2「固化物」とは、本来は鉱石を製錬するときに出るかす、鉱さいの意。焼却灰等を溶融し冷却することにより、ガラス質の類似の性状を有するものが生成される。

○ このため、溶融固化物は次の特徴を持つ。

  1. 焼却灰に含有される金属類の中で、低沸点の重金属類(例えば水銀、鉛、カドミウム、亜鉛等)は、加熱・溶融時に揮散し、排ガス側に移行し易く、溶融固化物中の含有量を低減することができる。

  2. 溶融固化物中に残る重金属類は、溶融固化物の主成分であるシリカ(SiO2)により、Si−O2の網目構造の中に包み込まれ、溶出防止効果の高い性状を示すと考えられる。

  3. 焼却灰等の中のダイオキシン類は、溶融時の高温条件により熱分解し、溶融固化物 中にはほとんど残存しない。


( 参 考 1 )



溶 融 固 化 物 の 性 状


ダイオキシン類の含有量
      (ng-TEQ/g)

番号 被溶融物 焼却飛灰 焼却灰 固化物
1 焼却飛灰 23.32 - 0.00
2 焼却飛灰 2.8 - 0.00
3 焼却飛灰 1.7 - 0.00
4 焼却飛灰 100 - 0.00
5 焼却飛灰 4.7 - 0.00
6 混合灰 7.4 0.0046 0.00
7 焼却飛灰 53.0 - 0.00
8 混合灰 7.8 0.228 0.00
9 混合灰 0.12-0.16(混合灰) - 0.00
10 焼却飛灰 7.8 - 0.00

溶融固化物の溶出試験結果

番号被溶融物カドミウム六価クロム砒素総水銀セレン
1混合灰<0.01<0.01<0.02<0.01<0.0005<0.01
2混合灰<0.005<0.005<0.04<0.005<0.0005<0.005
3混合灰<0.005<0.005<0.04<0.005<0.0005<0.005
4混合灰<0.005<0.005<0.04<0.005<0.0005<0.005
5混合灰<0.005<0.005<0.04<0.005<0.0005<0.005
6混合灰<0.005<0.005<0.04<0.005<0.0005<0.005
7混合灰<0.005<0.005<0.04<0.005<0.0005<0.005
8混合灰<0.010.02<0.05<0.01<0.0005<0.01
9混合灰<0.01<0.01<0.05<0.01<0.0005<0.01
10混合灰<0.01<0.01<0.05<0.01<0.0005<0.01
11焼却灰<0.01<0.01<0.05<0.01<0.0005<0.01
12焼却灰<0.01<0.01<0.05<0.01<0.0005<0.01
13焼却灰<0.01<0.01<0.05<0.01<0.0005<0.01


(参考2)

ごみ焼却施設から発生する焼却灰等の溶融固化処理施設の設置状況

平成10年3月現在

市町村名 施設名 稼働年月日
(予定含む)
焼却炉規模
(t/日)
溶融炉規模
(t/日)
固化物量
(t/年)
釜石市(岩手県) 釜石市清掃工場 S54.8.31 100
(50×2)
3,623
竜ヶ崎地方塵芥処
理組合(茨城県)
  H11.4(予定) 180 24
日立市(茨城県)   H13.4(予定) 300 44
宇都宮市(栃木県) クリンパーク茂原 H13.4(予定) 390(130×3) 40 10,000
草加市(埼玉県) 東部清掃組合第2工場 S60.3 300(150×2) 28.8
(14.4×2)
3,400
狭山市(埼玉県) 清掃センター H3.3 100 (50×2) 15 1,300
大宮市(埼玉県) 西部環境センター H5.3 300(100×3) 75 8,000
坂戸市(埼玉県) 清掃センター H6.8 80 (40×2) 9.6 1,100
越谷市(埼玉県) 東部清掃組合第1工場 H7.9 800(200×4) 160
(80×2)
7,800
狭山市(埼玉県) 第2クリーンセンター H8.11 165 (55×3) 1,162
我孫子市(千葉県) 我孫子市クリーンセン
ター
H7.4 120(50t/8h)
(70t/16h)
15 869
清掃局(東京都) 大田清掃工場第2 H2.3 600(200×3) 250×2 51,700
八王子市(東京都) 戸吹清掃工場 H10.4(予定) 300(100×3) 18×2
多摩川衛生組合
(東京都)
ごみ焼却施設 H10.4(予定) 450(150×3) 25×2
横浜市(神奈川県) 金沢工場(仮称) H13.4.1(予定) 1200(400×3) 60×1
白根衛生センター
組合(新潟県)
グリーンタワー H6.10 100 (50×2) 7t/16h 1,002
東海市(愛知県) 東海市清掃センター H7.12 160 (80×2) 30
(15×2)
3,252
衣浦衛生組合
(愛知県)
クリーンセンター衣浦 H7.10.1 190 (95×2) 30
(15×2)
735
茨木市(大阪府) 環境衛生センター第1
工場
S55.8 300
(150×2)
21,316
茨木市(大阪府) 環境衛生センター第2
工場
H8.4 300
(150×2)
揖龍保健衛生施設
事務組合(兵庫県)
揖龍クリーンセンター H9.4.1 120 60×2 12〜24
阿南市外二町衛生
組合(徳島県)
阿南クリーンセンター H2.11 60×2 48×2 1,110
美馬環境整備組合
(徳島県)
クリーンセンター美馬 H9.4.1 36×2 5×1 366
香川県東部清掃施
設組合(香川県)
東部溶融クリーンセン
ター
H9.6 130
(65×2)
4,623
松山市(愛媛県) 南クリーンセンター H6.4 300 52 13,286
八女西部広域事務
組合(福岡県)
八女西部クリーンセン
ター(仮称)
H12.4(予定) 220
(110×2)
諫早市(長崎県) 諫早市環境センター S61.12 118 (59×2) 12.3 2,085
  合 計(予定を除く) 126,747

照会先
 水道環境部環境整備課
 03−3503−1711(内4046)


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