患者の体細胞から複製胚性肝細胞を作り、治療用幹細胞培養に成功した黄禹錫(ファン・ウソック)ソウル大教授チームに対し、世界のメディアと学界は賞賛を惜しまずにいる。 ワクチンや抗生物質の発見よりさらに画期的な成果であり、英国の産業革命に比肩する賛辞が続いている。
一方では、生命倫理を前面に押し出し、ヒト・クローンの可能性を憂慮する声も大きくなっている。
ブッシュ米国大統領は、複製を容認する世の中が心配だとし、納税者と連邦政府の金を、生命を破壊する科学増進に使用することはできないと表明している。 ブッシュ大統領のヒトクローン胚の研究禁止措置に対し、米国科学界の不満が次第に大きくなっているという。
賛否両論飛び交う内容がいずれにしても黄教授チームの凱歌を契機に、胚性幹細胞は今後、未来医学の1つの軸として確実な位置を占めたというのが米国・欧州科学界の大半の意見だ。
また国家間の研究競争も加熱する見通しだ。すでにドイツはクローン胚から新しい幹細胞を作ることを禁止し、外国の幹細胞の輸入のみ許可している関連法を再検討すると明らかにした。米国政府の反対の立場も、結局、このような国際的な情勢を防げないという見通しが優勢だ。
黄教授の研究が世界トップの競争力を維持するためには国家レベルの支援が必要だ。まず充分な研究費支援と実験動物施設の拡充が急がれる。また黄教授チームにとって足りない技術を相互補完できるよう、世界有数のクローン胚研究機関とコンソーシアム構成に向けて、行政的な支援を惜しんではならない。
今後、黄教授チームが進むべき道は険しい。胚性幹細胞が同じ疾病を起こさないよう防止する、患者に合った細胞を提供する、幹細胞が人体に入ったとき、がん細胞に突変することを遮断する、などが課題だ。
今回の研究結果は、究極的に難病治療を通じて人類の福祉のレベルアップのきっかけを提供したのである。黄教授チームがより大きな成果を出すためには、物質的後援も必要だが、国民の声援がより必要とされる。